信州安曇野、北アルプスの大自然と湧水が作り出す美しい里で大人の癒やしを感じる旅
長野県の中でも特に美しい観光地として知られる「安曇野(あずみの)」。雄大な北アルプスを望む自然の中には清流や湧水、自然公園、美術館などの癒しスポットが散在し、スローな時の流れを感じる事ができる場所となっています。今回はゆったりとした時の流れに心が癒される、大人の安曇野旅へとご案内します。
※写真は安曇野の大王わさび農場の水車小屋
北アルプスの大自然と湧水が作り出した美しい里「安曇野」
長野県の「安曇野(あづみの)」は、北アルプスから松本平へと流れ出る中房川、鳥川、梓川などの清流によって生まれた複合扇状地。ここは昭和の小説家、臼井吉見の小説「安曇野」の中で取り上げられ、その美しい風土が多くの人々に知られ、静かなブームを巻き起こした観光地でもあります。
扇状地では地表の水が地下へと浸透するため、安曇野では水路による灌漑農業も行なわれ、湧き出す地下水を使用したワサビの栽培なども盛ん。この地は環境庁の「名水百選」や国土庁の「水の郷百選」にも指定されていて、大自然と湧水の美しい里となっています。
※写真は安曇野の地に広がる田園風景
安曇野の総鎮守、穂高神社に秘められた古代のロマンを知る
穂高の地に鎮座している「穂高神社」。ここは安曇野の総鎮守とされる古社であり、梓川の上流、上高地に奥宮が、そして北アルプスの最高峰、奥穂高岳山頂には嶺宮が鎮座し、日本アルプスの総鎮守ともされています。ここには穂高見命とその父神とされる海神、綿津見(わたつみ)命が祀られ、毎年9月には「御船祭」も行われています。
海がない信州の地で、穂高神社に祀られる神が海の神であるという不思議。その歴史を紐解いていくと、北部九州沿岸の古代海人族、安曇(あずみ)族の存在に行き当たります。古い時代に博多湾口に浮かぶ志賀島を本拠としていた安曇族は、日本海を北上してから越後に上陸、その後にこの美しい里を見つけて住み着いたとも伝えられています。彼らは一族の祖神をこの社に祀り、その後、この地は安曇野と呼ばれるようになったと言います。安曇野の地にはそんな古代ロマンの伝承も残されています。
※写真は北アルプスを望む安曇野の田園風景
安曇野に散在する癒しのスポットやアクティビティーをご紹介
安曇野では「大王わさび農場」「安曇野スイス村」「国営アルプスあづみの公園」などの観光スポットが定番的な人気を集めています。そして美術館や記念館などを訪ねるアート巡り、個性的な喫茶店、蕎麦屋巡りなども楽しめ、大人がゆっくりと時を過ごす事ができるスポットになっています。
湧水が流れる大王わさび農場は日本最大規模のわさび園
安曇野の「大王わさび農場」は日本最大規模とされる広大なわさび田であり、北アルプスの雪解け水が湧き出る場所でもあります。ここには黒沢明監督の映画、「夢」のロケで使用されたという水車小屋もあり、わさびソフトクリームやわさびビール、わさび漬作りの体験なども人気です。
名称:大王わさび農場
住所:長野県安曇野市穂高3640
参考リンク:大王わさび農場
安曇野の里山風景を再現した国営アルプスあづみの公園
また、北アルプスを望む「国営アルプスあづみの公園(堀金、穂高地区)」では安曇野の懐かしい里山風景が再現され、野原や花畑、小川や池などで、蝶やトンボが織りなす風景に出会う事ができます。そして古い校舎を模した「あづみの学校」では、理科教室や芸術教室などの体験プログラムも行われています。
名称:国営アルプスあづみの公園(堀金、穂高地区)
住所:長野県安曇野市堀金烏川33-4
参考リンク:国営アルプスあづみの公園
※写真は安曇野のポピー畑
彫刻家、荻原碌山の美術館は安曇野の象徴的な存在
「碌山(ろくざん)美術館」は安曇野出身の近代彫刻家、荻原碌山(荻原守衛)の美術館です。ここには高村光太郎、戸張孤雁などの彫刻作品も展示されていますが、蔦(つた)が絡まる教会風の美術館は安曇野を象徴するような存在。2009年には国の登録有形文化財にも指定されました。
名称:碌山美術館
住所:長野県安曇野市穂高5095-1
参考リンク:碌山美術館
安曇野アートヒルズミュージアムではオリジナル作品が作れるワークショップも
また、「安曇野アートヒルズミュージアム」は、アール・ヌーヴォーを代表するフランスのガラス作家、エミール・ガレの美術館です。ここの広い敷地にはガラス工房やレストラン、ショップなどが並び、吹きガラス、万華鏡、とんぼ玉など、オリジナル作品が作れるワークショップも行われています。
名称:安曇野アートヒルズミュージアム
住所:長野県安曇野市穂高有明8161-1
参考リンク:安曇野アートヒルズミュージアム
今でも根強い人気、いわさきちひろの世界を知る安曇野ちひろ美術館
そして北安曇野の大自然の中に佇んでいる「安曇野ちひろ美術館」は、いわさきちひろと世界の絵本画家の美術館となっていて、広い公園も併設されています。「いわさきちひろ」は子どもを描きつづけた画家、絵本作家であり、いのちの輝きをテーマにした、優しいタッチの水彩画は今でも根強い人気となっています。
名称:安曇野ちひろ美術館
住所:長野県北安曇郡松川村西原3358-24
参考リンク:安曇野ちひろ美術館
※写真は安曇野わさび田湧水群
その他にも、湧水が織りなす風景をテーマにした「安曇野わさび田湧水群公園」や「安曇野せせらぎの小径」といった見所もあり、「安曇野スイス村」ではワイナリーや乗馬施設、農産物直売所も人気です。また、「安曇野ジャンセン美術館」「安曇野市豊科近代美術館」「森のおうち 絵本美術館」など、多くの美術館群も散在しています。
そして、安曇野わさび田湧水群の川では、クリアボート体験(安曇野气船)や激流のないラフティング、安曇野清流川下り(あめんぼう)などが楽しめますし、安曇野の景観を空から楽しむ、熱気球で係留飛行体験(安曇野气船)などのアクティビティーもおすすめ。安曇野には大人の癒やしやアクティビティーが溢れています。
参考リンク:信州あづみの公式観光サイト 安曇野の旅(安曇野市観光協会)
あらき 獏(ばく)
情報誌の編集者を経て、現在は文化、歴史系フリーライター。歴史を側面から探ることで、歴史の謎解きを楽しんでいます。