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播州清水寺、ユニーク過ぎるビジュアルの「十二神将」と伝承の足跡に触れる古刹の旅

記事公開日:2016/10/03

平安時代から霊験あらたかな霊峰と崇められ、修行の場でもあった「播州清水寺」。ここは数々の伝承が残り、重要文化財となっている刀剣や秘仏、そしてユニーク過ぎるビジュアルの「十二神将」の存在でも知られる山奥の古刹です。今回は兵庫県加東市に位置し、美しい自然に囲まれた播州清水寺の魅力をご紹介していきます。

御嶽山清水寺

※写真は御嶽山清水寺

 

播磨地方の奥地にあるのは、日本三清水の1つともされる古刹

 

播磨地方の山奥、標高約542mの山の頂に位置する古刹「御嶽山清水寺」。縁起では景行天皇の時代に、渡来の法道仙人が御嶽山で国家鎮護と豊作を祈願して開山、水が乏しかったこの地で祈祷を行い、霊泉を湧き出させたと伝わります。この御嶽山清水寺は同じ西国33所に数えられる京都の清水寺(16番札所)と並んで「日本三清水」の1つとされ、「播州清水寺」(25番札所)と通称されています。

 

推古35年(627年)には推古天皇の勅願によって根本中堂が建立され、神亀2年(725年)には聖武天皇が行基に勅願して大講堂を建立。それ以来、2つの本堂で先祖供養や僧の修行が行われています。また、平安時代後期の「今昔物語集」には「播磨国の東北に霊験あらたかな霊峰がある・・・」と記され、古来より巡礼の地として広く知られてきました。

 

仁王門から大講堂へ

 

仁王門から入って山道を少し歩ていくと、「放生池」の向いに「大講堂」が見えてきます。

 

大講堂

※写真は大講堂

 

この大講堂は、長らく経典講義の場として多くの僧を育ててきました。しかし、大正2年(1913年)の山火事によって建物は焼失してしまいますが、大正6年に大講堂の本尊である「千手観音」とともに、建物も再建されました。

 

薬師堂

※写真は薬師堂

 

また、薬師堂は平安時代末期、平清盛の継母である池之禅尼の建立とされますが、再三の焼失を経て現在の建物は昭和59年に再建されています。内部には薬師如来が祀られ、その周囲を「十二神将」が守っているのが特徴です。

 

ユニーク過ぎるビジュアルの十二神将。作者はせんとくんでお馴染みの方

 

薬師堂内部の十二神将

※写真は薬師堂内部の「十二神将」

 

ちなみにこの薬師堂の「十二神将」は、奈良県の平城京遷都1300年記念事業(平成22年)の公式マスコットであり、鹿の角が生えた童子の姿で大きな話題にもなったキャラクター、「せんとくん」の作者としても知られる籔内佐斗司さんの作品です。薮内さんは東京藝術大学大学院教授の彫刻家ですが、古い仏像などの修復技術を研究し、古美術の保存修復に携わる研究者としても知られます。

 

独特の風貌でユニークな雰囲気を醸し出す十二神将

※写真は独特の風貌でユニークな雰囲気を醸し出す「十二神将」

 

独特の風貌でユニークな雰囲気を醸し出す十二神将の姿はなんとも不思議。これは平成13年(2001年)の作品だそうですが、その後の「せんとくん」の人気以降、この十二神将を見に訪れる方も多いようです。

 

根本中堂

※写真は根本中堂

 

また、こちらは放生池から石段を上がった場所にある、宝形造りの根本中堂です。大講堂と同じ時期に焼失しましたが、大正6年に再建されています。法道仙人の一刀三礼(一刀ごとに三礼する)で刻んだ十一面観音が祀られますが、これは30年に一度御開帳となる秘仏だそうで、次回の御開帳は平成29年の11月を予定しているそうです。

 

根本中堂の裏手にある滾浄水(こんじょうすい)

 

さらに根本中堂の裏手には、「清水寺」と呼ばれる所以にもなった「滾浄水(こんじょうすい)」が湧いています。これは法道仙人が水神に祈祷して湧出させたと伝わる霊泉で、この井戸の中を覗いて自分の顔が映れば寿命が3年延びると言い伝えられ、「おかげの井戸」とも呼ばれています。

 

播州清水寺には、非常に価値が高いとされる刀剣も伝わる

 

その他にも、播州清水寺には坂上田村麻呂の太刀とされる3本の刀剣が伝わっています。1本は切刃造(きりはつくり)、そして他の2本は鋒両刃造(きっさきりょうじんつくり)となっていて、奈良時代末期から平安時代中期にかけ、直刀から弯刀(わんとう)へと変遷する過程の太刀として知られ、資料的な価値が極めて高いものと判断、昭和56年(1981年)には国の重要文化財にも指定されています。写真でお見せできないのは残念ですが、江戸時代の「集古十種」(図録集)にも載っている貴重なもので、大講堂の奥に展示されていました。

 

さらに、弁慶ゆかりの碁盤とされるものも伝わる

 

さらに播州清水寺には、弁慶が書写山に在住中、暇を見つけては清水寺に詣でて碁を打ち、一目の差で負けてしまった悔しさから、怪力で碁石をめり込ませたと伝えられる碁盤も展示されています。ここ播磨の地は弁慶の伝承が多い場所でもあり、姫路の古刹「書写山円教寺」で修行し、弁慶と牛若丸との出会いに繋がる出来事も伝えられています。

 

※弁慶と義経が出会うきっかけとなった書寫山圓教寺の記事はこちら

 

ここは兵庫県加東市の山奥に佇む静かな山寺ではありますが、数々の伝承が今に伝えられています。有名な古刹巡りだけでは満足できなくなった方々に、ぜひともお薦めしたいスポットの1つです。

 

今回ご紹介した兵庫県加東市の旅行スポット

 

名称:西国第25番札所 神仏霊場78番札所(兵庫13番) 御嶽山播州清水寺(天台宗)
住所:兵庫県加東市平木1194
アクセス:舞鶴若狭自動車道三田西インターから約20分
入山拝観料:大人500円

 

播磨翁播磨翁

兵庫県の播磨国に在住。ワクワク出来る歴史旅をご紹介できれば幸いです。個人的には謎がありそうなディープな歴史が好きです。

 

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