北海道・冬の野付半島、厳しくも美しい氷の海でオオワシ、オジロワシに出逢う旅
記事公開日:2016/02/26
色とりどりの緑や花が休息している冬、北海道は空から降り注ぐ雪で大地が覆われます。そしてこの地にはヒグマやシマリスのように、寒さに耐えるために冬眠する生き物もいます。一方でこの地には冬にしか出会えない生き物や風景もあります。今回は自然の力強さを身体で感じる、冬の野付半島へとご案内します。
外海にはオホーツク海の荒波と流氷
野付半島は北海道の東、知床半島と根室半島の間にある「つ」の形をした細長い砂嘴(さし・砂が堆積してできた地形)です。この半島の外側にはオホーツク海が広がっています。また、野付半島から海の向こうに見えるのは、16キロ先にある北方四島の国後島です。この地の深いブルーの海は、時に穏やかな姿を見せることもあれば、テトラポットを越える波しぶきをあげたり、強い風を吹きつけたりする事もあります。この地にいると冬の美しさと厳しさが肌で感じられます。
2月末から3月は流氷の季節。あるとき、大きな流氷が押し寄せて真っ白な世界が広がることもあれば、数時間であっという間に消えてしまうこともあります。そして流氷の大きさも形も、その年、その日によってさまざま。それはまるで、大自然が次々と繰り出す手品のようでもあります。
内海は白銀の海原が広がる野付湾
野付半島の内側の野付湾は、川の水で薄められた海水が凍り、厚い氷に覆われます。地元の漁師さんは早朝にスノーモービルで凍った湾の中を走り、氷に穴を開けてからチカやコマイを獲る「氷下待ち網漁」を行なっています。上記の写真は気温の上下によってできた「御神渡り」。規模は小さいですが、長い氷の盛り上がりが見られました。
※氷上を歩いてみたい方は、「野付半島ネイチャーセンター」でガイドを派遣しています。氷が薄い場所もあるため、安全確保のためのガイドツアーをご利用下さい。
シカ・シカ・シカの大行進
また、野付半島に来ればまず見られるであろうというのが「エゾシカ」。氷の上や道路の上、あちこちで出会えます。野付原生花園の食害など、共存のための課題はあるのですが、雌鹿の可愛らしい姿、雄鹿の勇壮な姿は人の心を惹きつけます。
道路に突然、エゾシカが飛び出してくることがあります。もし一頭現れたら、しばらく止まって下さい。その後ろには何頭もエゾシカがいる場合もあります。特に角の大きな雄鹿にぶつかると、その後の旅に支障が出てしまうと思いますので、東北海道の旅はくれぐれもシカにご注意下さいね。
冬の来訪者、日本最大級の猛禽類「オオワシ」
野付半島の道路は一本道です。ここを走るときは電柱の上にも注目してみて下さい。国の天然記念物、環境省レッドリスト絶滅危惧II類(VU)のオオワシが佇んでいることがあります。翼を広げると全長2.5mにもなるオオワシは、オホーツク海沿岸から南下してくる猛禽類です。くちばしが黄色く、肩のあたりが白いのが目印となっています。電柱の他にも流氷の上、野付湾の上、テトラポットなどにもいて、水鳥や魚、アザラシなどを餌にしています。また、氷下待ち網漁の漁師さんが捨てる雑魚のおこぼれを待っている姿も見られます。
オジロワシ
オオワシよりも色が薄く、尾が白いのが「オジロワシ」です。こちらも国の天然記念物で、環境省レッドリスト絶滅危惧II類(VU)に登録されています。
表情がユニークなレアキャラ「コミミズク」
そしてなかなか出会えないのがこの「コミミズク」。フクロウの仲間で、シベリアから南下してきます。夜行性なので昼間に出会えたらラッキー!夕方の時間帯に、オオワシやオジロワシよりも小さくて、飛び方が違う鳥がいたらじっくりと観察してみて下さい。道路沿いをホバリングしていることがあります。
冬を越す生き物たちの楽園、大自然の野付半島
冬の野付半島では、海が凍るという自然の不思議や、真っ白な世界で懸命に冬を越す生き物たちの姿が見られます。過酷な北海道の冬をじっと耐え、時にはたくましく生きる生き物たちの姿をそっと覗いてみませんか。
※もし観察などで道路に車を停める場合は、左端に寄せ、ハザードランプを点灯して下さいね。
今回ご紹介した北海道旅のスポット
名称:野付半島
住所:〒086-1645 北海道野付郡別海町野付
アクセス:根室中標津空港から車で50分
参考リンク:野付半島ネイチャーセンターの公式サイト
Reiko
フォトライター。北海道の東から、心を動かされる風景など、旅したくなる北海道の情報を発信していきます。
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