人の立ち入りを許さない摩周湖、魔神の湖と敬われたこの湖の神秘に触れる摩周旅

1年のうち100日以上は霧に包まれてしまう「摩周湖」。日本一透明度が高いこの湖は、布施明さんの歌謡曲「霧の摩周湖」で一躍脚光を浴びました。ここには湖水に触れることができる道はなく、断崖絶壁に囲まれたまさに神秘の湖です。今回は北海道遺産、阿寒国立公園の特別保護地区に指定されているこの湖の神秘を知り、穴場のビュースポットを巡る旅へとご案内します。

摩周湖は火山の爆発によってできた「巨大な水たまり」

摩周湖の周囲は約20キロメートル、そして面積は19.2平方キロメートルあり、カルデラ湖としては日本で6番目の大きさを誇ります。最近の調査では湖につながる沢が1つだけ見つかりましたが、ここはほぼ雨水と雪解け水で形成された、とても大きな水たまりなのです。

「魔神の湖」と「魔神の山」

アイヌ文化の研究家・更科源蔵の「アイヌ語地名解」によると、摩周湖という名は日本人（和人）が名付けたようです。湖の周りは切り立った崖に囲まれており、その姿は外輪山の展望台から見下ろすのみです。また、6月から7月は霧に覆われることが多く、先住民族のアイヌはこの摩周湖のことを「カムイ・ト（魔神の湖）」、そして外輪山の最高峰である摩周岳のことを「カムイヌプリ（魔神の山）」と呼んでいた事からも、摩周湖周辺が古くから特別な場所として敬われていたことがわかります。

湖にポッコリと浮かぶ小島。実は「溶岩ドームの頂上」

湖の中から顔を出す小さな島は「カムイシュ島」。ここは一見するとほんの小さな島に見えますが、高さ230メートルの溶岩ドームの頂上なのです。そしてこの島もまた、摩周湖と同様に断崖絶壁に囲まれています。

今では幻となった「第2展望台」の存在

摩周湖を望む展望台（現在の第1展望台の場所）は昭和4年にできました。現在は第1展望台と第3展望台が整備されていますが、かつては第2展望台もありました。しかし第2展望台の周囲には危険な場所が多く、今では幻となってしまいました。

摩周湖をより近くで見るための穴場が「裏摩周展望台」

第1展望台のちょうど対岸にあるのが「裏摩周展望台」。ここは第1展望台よりも約100メートル低い場所にあるため、より湖水に近く、霧の影響を受けにくいとされ、知る人ぞ知る摩周湖観光の穴場となっています。ちなみにこの近くには、エメラルドグリーンの水があまりにも神秘的な事で知られる「神の子池」もあります。

登山をしながら摩周湖を眺める「西別岳」

標茶町方面から西別岳へと登って行くと、リスケ山のあたりから徐々に摩周湖が見えてきます。稜線を歩きながら様々な姿を見せる摩周湖を眺めていると、それまでに歩いた山道の苦労も一気に吹き飛びます。また、もし車が2台あれば西別岳からさらに摩周岳を経由し、摩周湖第1展望台まで縦走することができます。

1年の3分の1近くが霧に包まれ、どの角度から見ても心惹かれるのに、その湖水には決して触れることができない。そんな神秘の湖が「摩周湖」です。そしてこの湖の底から自然のフィルターを通して染み出した伏流水は、豊かな大地と私たち人間を生かしてくれる「命の水」となっています。あなたも一度この地を訪れれば、きっと二度と忘れられない光景に出会えるはずです。

今回ご紹介した北海道・摩周旅のスポット

名称：摩周第一展望台・摩周第三展望台
住所：〒088-3200　北海道川上郡弟子屈町
入場料：無料
開放時間：常時開放
アクセス：根室中標津空港から車で約70分
駐車場：（4月中旬～11月末は有料。駐車券は硫黄山駐車場と共通で2日間有効。冬期間と時間外は無料）
参考リンク：公式サイト「弟子屈なび」

名称：裏摩周展望台
住所：〒099-4526　北海道斜里郡清里町清泉
開放時間：常時開放（11月下旬～翌年4月上旬は林道通行止め）
アクセス：根室中標津空港から車で約60分
駐車場：無料
参考リンク：公式サイト清里町

名称：西別岳
住所：〒088-2300　北海道川上郡標茶町虹別原野
入場料：無料
開放時間：常時開放
アクセス：根室中標津空港から車で西別岳登山口まで90分、山頂までコースタイム90分
駐車場：あり
参考リンク：公式サイト川湯エコミュージアムセンター

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