日帰りで別世界!鎌倉・報国寺の竹林でそよ風と抹茶を楽しむ旅
東京駅からJR横須賀線に乗り、約1時間程度でアクセスする事ができる「鎌倉」。近年は京都に続く一大観光スポットになっていて、首都圏では歴史旅の定番地としても知られています。そして鎌倉の中でも癒やしスポットとして有名なのが、今回ご紹介する「報国寺の竹林」。日帰りでアクセスできるスポットでありながら、豊かな自然に満ちた光景が広がり、古き良き鎌倉の世界観を体感する事ができます。
報国寺の歴史とゆかりの人物
報国寺創建の歴史は古く、時は1334年の建武の新政の頃にまで遡るとされています。開山に関わったのは天岸慧広(てんがんえこう)という当時の名僧だそうで、この寺の開基(創建の支援)は足利尊氏の祖父にあたる、足利家時と伝えられます。境内のやぐらの中には足利家時の墓もあり、足利氏ゆかりの寺とも言われます。ちなみにもう1つの説として報国寺記という寺の歴史書では、開基に上杉重兼の名前が挙げられており、こちらを有力とし、上杉家ゆかりの寺とする見方もあるようです。
いわゆる室町幕府の時代には、幕府の出先機関として鎌倉に鎌倉府が置かれ、ここの長官を鎌倉公方とし、関東一円の政治においては重要な地域となりました。しかし4代目の鎌倉公方に当たる足利持氏とその子の足利義久の時代、鎌倉公方を補佐する役割であった関東管領と深刻な対立が勃発、最終的には自らの本家とも言える京都、室町幕府の将軍から持氏、義久親子は討伐されてしまいます(永享の乱)。報国寺は足利義久が自刃した場所でもあり、こちらの墓もやぐらの中にあると言われています。
竹の庭は、日々の疲れを忘れさせる別世界
Bamboo forest in Kamakura / lublud
鎌倉を巡る旅の中で、報国寺の人気が高い理由はこの寺の竹の庭(竹林)にあると思います。竹林と言えば京都、嵯峨野の竹林が最も有名ですが、鎌倉のこの竹林は嵯峨野をよりコンパクトにしたような広さ。しかしながら竹林の中に響き渡る風の音、少しひんやりとした空気感、山合の緑の香りは現代社会に生きる人々にとって、癒やしとなるような空間です。
暑いけど涼しい、心が澄まされます / Ryosuke Yagi
竹林の中に佇めば、周囲360度が竹の世界に。上を見上げれば、風にそよぐ竹の姿が美しく感じられます。心を静かにさせる、穏やかにしてくれる。落ち着きの大切さを私たちに教えてくれるような場所です。
竹林を奥へと進んでいくと、「休耕庵」という茶席で休息を取る事もできます。この休耕庵で抹茶を飲みながら一息つき、静かに竹林の姿を眺めていると、ついつい時が経つのを忘れてしまいます。
竹林の奥に見えるのは「やぐら(横穴)」。鎌倉の街を囲む周囲の山々には、至るところにやぐらがあり、その多くはお墓があります。鎌倉時代にはこういった形の墓やぐらが多く作られたようで、当時の埋葬に対する常識、考え方なども伺い知る事ができます。
週末の報国寺は混雑しやすいため、時間をずらして訪れるのがお薦め
報国寺は鎌倉の中でも人気が高いスポットの1つとなっているため、毎週土曜日、日曜日の日中、連休中の期間などは多くの観光客が訪れます。もし竹の庭(竹林)でひっそりと、心静かな時間を体感してみたいと思う場合は、平日に訪れるか、休日でも早い時間帯(例:午前9時や10時頃まで)に訪れるのが良いと思います。鎌倉を巡る歴史旅の中でも、一見の価値がある場所だと思います。
最後に坐禅会の情報も
報国寺では毎週日曜日、朝の午前7時半から「日曜坐禅会」も行っているそうです(天候等で開催休止の場合もあり)。坐禅会の時間帯は午前7時半集合で8時から10時まで。軽い観光向けというよりは、ある程度厳しい内容の坐禅会となっているそうなので、改めて自分を見つめなおしてみたいという方にはこの機会もまた、お薦めかもしれません。
レキタビ編集部
歴史スポット巡りや観光、老舗の歴史飯を味わう旅って案外楽しい!と言って頂けるような情報を発信したいと思います。