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岡山城、烏城とも呼ばれる岡山のシンボルを知り、日本三名園の庭園を巡る旅

記事公開日:2016/06/06

豊臣家五大老の一人、宇喜多秀家が心血を注いで築城した織豊期城郭の名城「岡山城」。後に続く小早川秀秋、池田氏など、歴代の城主たちもこの岡山城を愛しむように改築を重ね、城下町を繁栄させてきました。今回は旭川の水面に黒塗りの天守を映し、別名「烏(う)城」とも呼ばれる岡山のシンボルを巡り、日本三名園の1つにも数えられる「後楽園」の魅力を合わせてご紹介していきます。

旭川の水面に漆黒の天守を映す岡山城

※写真は旭川の水面に漆黒の天守を映す岡山城

 

岡山城を築き、城下を整えて繁栄させた歴代の城主たち

 

戦国時代の元亀年間、備前を中心に急速に勢力を広げた宇喜多直家は天正元年(1573年)にこの地へ入り、城郭を造ります。そして北方にあった西国街道を城下へ導き、商人を集めて城下町を整備しました。また、直家の死後はその子、宇喜多秀家が義父となった豊臣秀吉のもとで育ち、父の遺領を継承して57万石の大名となります。そして豊臣秀吉の晩年には五大老の一人として、豊臣政権の中枢でその絶頂期を迎えています。

 

宇喜多秀家は父・直家の城郭を8年もの時を費やして大改修し、旭川の流れを変えて外堀とし、郭を整備して高石垣を積み、黒漆塗りに金箔瓦を使用した壮麗な天守を築き上げました。この築城には秀吉の意向が大きく働いたと言われ、織豊系の近世城郭として整備されました。「岡山」という名前も、この頃に定着したものと言われています。

 

しかし慶長5年(1600年)、関ヶ原の戦いで西軍の主力となった秀家は八丈島に流されてしまい、宇喜多家は改易となってしまいます。それに代わって小早川秀秋が備前、美作52万石の領主としてこの城へ入り、秀秋は城の西方を広げて新たに外濠を設け、その外には寺町を配して城下町を広げます。しかし、その秀秋も2年後の慶長7年(1602年)に急死してしまい、嗣子が無かった小早川家は断絶してしまいます。

 

その後は姫路城主の池田輝政の一族が藩主として入封し、城や城下町の整備、拡張を行い、江戸期の最終的な縄張りが完成しています。また、貞享4年(1687年)から14年の歳月をかけて、旭川を隔てた北側に広大な大名庭園、後楽園を造営しています。

 

後楽園から望む岡山城の天守

※写真は後楽園から望む岡山城の天守

 

5重の濠に囲まれた城郭群と、3層6階もの複合式望楼天守

 

岡山城は旭川河岸に築かれた梯郭式の平山城で、旭川を東の外濠とし、西へと郭を広げますが、元禄時代の古地図からは5重の濠に囲まれた郭(くるわ)群と南北3.5km、東西1.3kmにおよぶ城下町の姿が伺えます。

 

この岡山城に関しては、歴代の城主が城造りを重ねた痕跡が石垣に現れています。例えば築城時の野面(のづら)積み、江戸時代初期の打込ハギ、その後の切込ハギなど、各時代の石積みの特徴が見てとれます。また、本丸の野面積みの高石垣は全国有数の遺構とされています。そして現存する本丸の月見櫓と二の丸の西手櫓は、ともに江戸時代初期の隅櫓であり、国の重要文化財にも指定されています。

 

黒漆塗りの外板を持つ天守は3層6階の複合式望楼天守であり、丘陵の形に合わせて天守台が造られたことで、多角形の平面となっています。そして現在目にする事ができる天守は昭和41年に再建されたもので、書院造りの城主の間も合わせて復元されています。この天守の1階は売店や茶店、そして2階から5階には城の歴史が展示され、最上階は展望所となっています。

 

間近に見る岡山城天守

※写真は間近に見る岡山城天守

 

「後楽園」は日本三名園の1つにも数えられ、その見所も多彩

 

岡山城の対岸に位置する「後楽園」は、江戸時代初期に2代藩主・池田綱政によって築造された大名庭園であり、国の特別名勝とされています。ここは藩主が賓客をもてなした「延養(えんよう)亭」を中心とした池泉回遊式の庭園で、天守や周辺の山を借景にし、能舞台である「栄唱の間」や、大輪の白い蓮、一天四海(大名蓮)が咲く「花葉(かよう)の池」、立体的な景観が楽しめる「唯心山」など見所は多彩です。後楽園は水戸の偕楽園、金沢の兼六園とともに、日本三名園の1つにも数えられています。

 

後楽園の風景①

 

後楽園の風景②

※写真は後楽園

 

今回ご紹介した岡山旅・岡山城を巡るスポット

 

名称:岡山城
住所:岡山市北区丸の内2丁目2-3-1
アクセス:路面電車「城下」徒歩約10分
駐車場:公園駐車場あり
入場料:大人300円、小中学生120円
開館時間:9:00~17:30
参考リンク:岡山城公式サイト

 

名称:後楽園
住所:岡山市北区後楽園1-5
アクセス:路面電車「城下」徒歩約10分
駐車場:専用駐車場あり
入場料:大人400円(岡山城、後楽園共通券 大人560円)、高校生以下入園無料
参考リンク:後楽園公式サイト

 

あらき 獏(ばく)あらき 獏(ばく)

情報誌の編集者を経て、現在は文化、歴史系フリーライター。歴史を側面から探ることで、歴史の謎解きを楽しんでいます。

 

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