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幕末の風雲児・坂本龍馬、長崎で龍馬の原点に触れ、その足跡を辿る旅

記事公開日:2016/04/26

「長崎はわしの希望じゃ。やがては日本回天の足場になる」。坂本龍馬が吐いたというこの言葉は、司馬遼太郎の代表作「竜馬がゆく」の中のセリフです。坂本龍馬は当時、世界との窓口であった長崎の地で日本の未来を見通し、日本初の貿易会社となる「亀山社中」を結成、来たる維新を大きく推し進める原動力となりました。今回は長崎の地で龍馬思想の原点に触れ、龍馬の足跡を辿る旅へとご案内します。

亀山社中跡

※写真は亀山社中跡

 

希望の地、長崎で結成した日本初の貿易会社「亀山社中」

 

土佐藩の下級武士であった坂本龍馬は、尊王攘夷の志を持って土佐藩を脱藩した後、江戸で勝海舟の門人となって航海術を習得し、神戸海軍塾の塾頭となります。そして元治元年(1864年)、龍馬は勝海舟に同行して長崎の地を訪れました。当時の鎖国時代、唯一世界に開かれていた長崎の街には諸外国の文化や情報が溢れ、龍馬に大きな刺激を与えました。

 

そして翌、慶応元年(1865年)に龍馬は勝海舟や西郷隆盛らの協力で薩摩藩の援助を得て、神戸海軍塾の同志らと日本初の貿易会社である「亀山社中」を長崎で結成します。この亀山社中は英国商人、グラバーらとの間で貿易を行い、交易の仲介や物資の運搬などで利益を得て、順調に稼動していきます。また、亀山社中は政治的且つ軍事的な組織でもあり、薩摩藩や長州藩の橋渡し役ともなり、後の薩長同盟の締結へと繋げています。

 

しかしやがて、近藤長次郎の英国留学の企て露見による自刃、ワィルウエフ号の遭難による同志12人の死などの問題が山積し、慶応3年(1867年)、龍馬が脱藩罪を許されたのを機に、亀山社中は土佐藩によって引き継がれ、「海援隊」となります。その海援隊は薩長両藩のために武器や船舶の購入などの活動を行いますが、京都、近江屋での龍馬の暗殺事件以降は求心力がなくなってしまい、慶応4年(1868年)に藩命によって解散となりました。

 

龍馬のブーツ像

※写真は龍馬のブーツ像。亀山社中の傍には舵輪とブーツのブロンズ像があります。龍馬は日本で最初にブーツを履いた人物と言われ、新しい世界に船出しようとした龍馬の思いを表現しています。眼下には長崎都市景観賞に選ばれた長崎の街と港の景観が広がっています。

 

龍馬たちが闊歩した亀山社中周辺や、花街、丸山界隈の歩き方

 

「亀山社中跡」は風頭山の斜面、伊良林にあります。ここには当時の建物が復元され、記念館として公開されています。ここには龍馬の着物や手紙、海援隊士の日記などが展示され、当時の勢いある雰囲気が再現されています。また、縁側からは長崎の街と港を一望する事ができるようになっています。

 

龍馬通り①

 

龍馬通り②

※写真は龍馬通り

 

亀山社中跡から坂道を下り、寺町へと至る道は龍馬らが駆け抜けた道。この道は「龍馬通り」と呼ばれ、長崎らしい急坂や階段が続き、歴史探訪路となっています。辻々には龍馬らを描いた手作りの案内板が設置され、訪れた観光客の人気を集めています。

 

さらに龍馬通りから寺町を南に抜け、電車通りの向こうへ行けば、かつての花街、丸山界隈に至ります。江戸時代に日本三大花街の1つとされた「丸山」は、風情溢れる町並みが人気のスポットです。当時の姿を残す史跡料亭「花月」では、龍馬がつけたといわれる刀傷や、奉行所に出した抗議文の直筆下書きなどを見る事ができます。

 

風頭公園の坂本竜馬像

 

その他にも風頭山上の風頭公園には、腕を組んで長崎の街と港を見つめる龍馬像が立ち、日本の未来を見据える力強い眼差しが魅力です。傍には司馬遼太郎の代表作「竜馬がゆく」の文学碑があり、近隣には「長崎奉行所跡」や「グラバー邸」、大河ドラマ、龍馬伝にも使用された長崎海軍伝習所の復元帆船「観光丸」があるなど、龍馬に関わる史跡や見所が多く、全国から数多くの龍馬ファンが訪れる場所となっています。

 

今回ご紹介した長崎・坂本龍馬ゆかりの旅のスポット

 

名称:亀山社中記念館
住所:長崎市伊良林2丁目7-24
アクセス:市電「新大工町」徒歩15分、長崎バス「風頭山」徒歩約5分
入館料:大人300円 高校生200円 小・中学生150円
参考リンク:亀山社中記念館の公式サイト

 

名称:史跡料亭 花月
住所:長崎県長崎市丸山町2-1
アクセス:市電「思案橋」徒歩約5分
駐車場:専用駐車場あり
料理:卓袱料理(昼)10,000円から(要予約)
営業時間:12:00~15:00(L.O.14:00)18:00~22:00(L.O.20:00)
参考リンク:史跡料亭 花月の公式サイト

 

あらき 獏(ばく)あらき 獏(ばく)

情報誌の編集者を経て、現在は文化、歴史系フリーライター。歴史を側面から探ることで、歴史の謎解きを楽しんでいます。

 

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