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長崎の寺町、鍛冶屋町界隈、後の日本文化に大きな影響を与えた中国寺院を巡る旅

記事公開日:2016/09/10

長崎・風頭山麓に位置する寺町、鍛冶屋町界隈には、異国情緒溢れる歴史寺院が集中しています。今回は一般的な長崎観光の歩き方とは少し角度を変え、後の日本文化に大きな影響を与えた最古の中国寺院などを巡り、長崎に異国文化の花を開かせた建物と人々をご紹介していきます。

朱塗りの崇福寺三門

※写真は朱塗りの崇福寺三門

 

長崎、風頭山麓の寺院めぐりで、鎖国時代の異国文化を楽しむ

 

鎖国の時代、長崎は外国への唯一の窓口とされ、数多くの文化が入ってきていました。その中でも長崎で貿易を行っていた大陸の福建省華僑は財力を得て、中国から長崎へ高僧を招き、中国様式の寺院を造りました。そして、来日した中国僧たちは多くの先進技術を日本に伝え、書画や篆刻などの文化、文物を持ち込み、当時の日本文化に大きな影響を与えています。

 

中国様式の興福寺大雄宝殿

※写真は中国様式の興福寺大雄宝殿

 

崇福寺は中国寺院唯一の国宝建築。朱塗りの門が大陸の雰囲気を感じさせる

 

路面電車の終点「正覚寺電停」から風頭山の方へ3分ほど歩くと、竜宮を思わせるような朱塗りの門が目に入ります。ここ「崇福寺」は寛永6年(1629年)に福建省華僑の人々が、高僧であった超然を招いて創建した黄檗(おうばく)宗の寺院で、中国様式の大雄宝殿と第一峰門は国宝に指定されています。九州にある国宝建造物は6棟ですが、そのうちの2つがこの崇福寺にあります。また、護法堂、鐘鼓楼や媽祖門なども国の重要文化財に指定されています。今でも旧暦7月の中国盆会には全国から華僑の人たちが集まり、中国の情緒を感じさせてくれます。

 

崇福寺の三門

※写真は崇福寺の三門。聖寿山の扁額は黄檗宗の開祖、隠元によるもの

 

長崎の清水寺は石造りの舞台。日本と中国の建築様式が混在している安産祈願寺

 

そして崇福寺の南、風頭山の斜面には「清水寺」が佇んでいます。ここは元和9年(1623年)、京都・清水寺の僧、慶順の創建とされる名刹で、長崎の民話「甚太郎狐」の伝承に纏わる安産の祈願寺とされています。本堂は国の重要文化財となっていて、日本の寺院建築に中国様式を取り入れたもの。また、内陣の厨子や博多の豪商・伊藤小左衛門が寄進した梵鐘、島原城主・松倉重政が築造した京都・清水寺の舞台を擬した石欄など、その見所は多彩です。

 

石造りの清水寺

※写真は長崎、石造りの清水寺

 

石畳の道に接して並ぶ寺院。ここには静かな時間の流れがある

 

清水寺から崇福寺前の通りへと戻ると、右手には「大光寺」があります。石段上には山門があり、親鸞聖人の像が参拝者を迎えています。そしてその隣には「大音寺」。この大音寺の本堂裏にある銀杏は樹齢約300年の天然記念物で、石段脇にはクロガネモチの大樹も聳えます。

 

さらに大音寺とその隣にある晧台寺の間に位置するのが「幣振り坂」。ここは長崎の総鎮守、諏訪神社の大鳥居の石材を風頭山から切り出す時に、御幣を振って石材を運んだ坂と言われます。晧台寺から禅林寺まで続く道は「寺町通り」と呼ばれ、石畳の道に接しておよそ10の寺院が立ち並んでいます。

 

尚、「晧台寺」は慶長13年(1608年)に亀翁良鶴によって創建された古刹ですが、墓域は風頭山まで広がっていて、ここにはシーボルトの娘「おらんだお稲」や、亀山社中の「近藤長次郎」の墓石なども並んでいます。

 

晧台寺

※写真は晧台寺

 

大陸の文化と文物を伝え、日本に大きな影響を与えた「興福寺」

 

そしてもう1つご紹介しておきたいのが「興福寺」。ここは寛永元年(1624年)、長崎最初の中国僧・真円によって創建された日本最古の黄檗宗寺院であり、第2代住持の黙子如定(もくすにょじょう)は書画や篆刻などの文化、文物を長崎へ持ち込み、中島川にアーチ式の石橋「眼鏡橋」を架設します。また、黄檗宗の僧たちは能書家でもあり、第3代住持の逸然は「長崎漢画の祖」ともされています。

 

そして、承応3年(1654年)に逸然が招請した黄檗宗の開祖「隠元(いんげん)」は、約30人の弟子や技術者たちを連れて来日。この時に印刷などの先進技術や、多くの文化と文物を日本に伝えています。また、「インゲン豆」の他、「孟宗竹」「スイカ」「レンコン」などを日本にもたらしたのも隠元と言われています。

 

興福寺の大雄宝殿

※写真は国の重要文化財「興福寺」の大雄宝殿。その他にも本堂の瑠璃燈、媽祖堂、鐘鼓楼、三江会所門、移設された旧唐人屋敷門、中島聖堂遺構大学門など、興福寺の境内には見所が多数あります

 

三宝寺

※写真は三宝寺。長崎代官屋敷の門を移築したとされる重厚な山門

 

深崇寺

※写真はキリシタン教徒との葛藤の歴史を伝える深崇寺の山門

 

長崎の寺町、鍛冶屋町界隈は今も古き時代の面影を残していて、観光客で賑わう雑踏を避け、より深く長崎の歴史と文化に触れる事ができる絶好のスポットとなっていました。

 

今回ご紹介した長崎県の旅行スポット

 

名称:崇福寺
住所:長崎県長崎市鍛冶屋町7-5
アクセス:路面電車「正覚寺下」徒歩約3分
駐車場:専用駐車場あり
拝観料:一般300円、中高校生200円、小学生100円


名称:清水寺
住所:長崎県長崎市鍛冶屋町8-43
アクセス:路面電車「正覚寺下」徒歩約3分
駐車場:専用駐車場あり
参考リンク:長崎山清水寺公式サイト


名称:興福寺
住所: 長崎県長崎市寺町4-32
アクセス:路面電車「公会堂前」徒歩約8分
駐車場:近隣に駐車場はあり
拝観料:一般300円、中高校生200円、小学生100円
参考リンク:興福寺公式サイト

 

あらき 獏(ばく)あらき 獏(ばく)

情報誌の編集者を経て、現在は文化、歴史系フリーライター。歴史を側面から探ることで、歴史の謎解きを楽しんでいます。

 

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