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明日香村、日本の心の故郷とも言われる地で、遺跡古墳と不思議な石造物に出会う旅

記事公開日:2016/01/10

かつての日本の王宮の地「明日香村」。ここはこの国の始まりの地であるとともに、日本の心の故郷とも言われる里です。今回はあの大化の改新で知られるスポットや、有名な古墳の数々を知りながら、明日香の里の不思議な石造物群に出会う旅をご紹介していきます。

明日香村の風景

※写真は明日香村の風景

 

のどかで美しい四季の風景、そこは万葉の時代の面影を残す明日香の里

 

奈良盆地の南、花々が咲き乱れる明日香の里には、飛鳥時代の宮殿跡など、数々の遺跡が散在しています。乙巳の変(大化改新)の舞台となった「板蓋宮跡」や、蘇我馬子の墓と伝えられる「石舞台古墳」、そして日本最古の寺院である「飛鳥寺」、さらに極彩色の壁画で飾られた「高松塚古墳」など、明日香の里の見所は多彩です。中でも亀石、猿石、酒船石など、その用途が不明の不思議な石造物は不思議な存在感を感じさせます。古来、石にはスピリチュアルな力が宿ると言われ、それらの石造物はパワースポットともされ、現在は人気を集めています。

 

明日香の象徴「甘樫丘」

※写真は明日香の象徴「甘樫丘」

 

亀形石造物や酒船石など、特異な石造物が散在する「酒船石遺跡」

 

橿原神宮前駅から東へ向かうと、右手には「甘樫丘(あまかしのおか)」が見えてきます。この丘の麓には中大兄皇子が造った漏刻(ろうこく、水時計)の遺構「水落遺跡」や、飛鳥大仏で知られる日本最古の寺院、「飛鳥寺」があります。

 

そしてその先、万葉文化館の傍には「亀形石造物」と呼ばれる場所があります。亀形石造物とは、その名前の通り亀の姿。上部には湧水施設と貯水槽があり、そこらから水が流れる構造となっています。また、傍の丘陵には「酒船石」があります。巨大な石の上面に円形の窪みと溝が刻まれ、通水施設とも言われている不思議な石造物なのです。この一帯は「酒船石遺跡」と呼ばれていて、斉明天皇の「両槻宮(ふたつきのみや)」の一部ともされています。

 

不思議な亀形石造物

※写真は不思議な亀形石造物

 

明日香の里には、あの大化の改新で知られるスポットも

 

酒船石遺跡の南の田畑が広がる中には、飛鳥京の中心遺跡「飛鳥板蓋宮跡」の石組みがあります。この遺跡は飛鳥岡本宮、あの乙巳の変(大化改新)の舞台となった飛鳥板蓋宮と、斉明天皇の後飛鳥岡本宮、そして天武・持統天皇時代の飛鳥浄御原宮の4つの時代の宮殿遺構が重なるとされています。

 

また、西へ行けば川原寺、橘寺を経て、道沿いに「亀石」を目にする事ができます。巨大な石に亀のような顔が彫られていて、これもまた用途がわからない不思議な石造物となっています。そして南に少し離れた奥明日香の地には、田園風景の中に「石舞台古墳」が。ここは古墳の封土がなくなり石室が露出したもので、蘇我馬子の墓とも言われ、パワースポットとしても人気を集めています。

 

飛鳥板蓋宮跡(石敷大井戸)

※写真は飛鳥板蓋宮跡(石敷大井戸)

 

鬼の伝説が残る巨大な石造物や、猿石と呼ばれる人面石像も

 

明日香村の西、「飛鳥歴史公園」の周辺には、天武・持統天皇陵、文武天皇陵、欽明天皇陵などの古墳群が集中しています。公園の北には「鬼の俎(まないた)」「鬼の雪隠(せっちん)」とも呼ばれる巨大な石造物があり、古墳時代の終末期の石室の部材が散乱したものとも伝えられ、鬼の伝説をここに残しています。

 

また、近くの吉備姫王墓には「猿石」と呼ばれる人面石像が4体ほどあります。この石像は渡来人をモチーフにしたものとも言われています。その他にも飛鳥歴史公園の先、近鉄飛鳥駅の駅前には「須弥山石」のレプリカがそびえます。須弥山石は「石神遺跡」から発掘されたもので、浮き彫りで飾られた石が3段に積み上げられ、古代の噴水装置と言われています。

 

明日香の謎の石造物群は、神仙思想にまつわるものと言われる

 

日本書紀の中では、斉明天皇が異国からの使者を迎え、「須弥山石」のもとで饗宴を開いたと記されています。また、「亀形石造物」や「酒船石」についても、斉明天皇の時代に造られた庭園の通水遺構だとされます。この斉明天皇は神仙思想(道教)を好んだとされ、自らの宮殿を仙人が住む不老不死の理想郷と見なし、「天宮(あまつみや)」と呼んでいたと言われます。もし明日香の里に散在する謎の石造物群が、神仙思想や道教にまつわるものであるとすれば、風水などの力が宿る、パワースポットと言っても良いものなのかもしれません。

 

亀形石造物

※写真は亀形石造物

 

明日香村を巡るなら、周遊バスやレンタサイクルもお薦め

 

明日香村を巡るならバスやレンタサイクルを利用するのもお薦めです。奈良交通のかめバス(赤かめ)が橿原神宮前駅、飛鳥駅と主な観光地を周遊していて、大人650円、小人330円の「1日乗り放題のフリー乗車券」がお得(2016年1月現在)。また、橿原神宮前駅、飛鳥駅前には観光レンタサイクルもあります。明日香は小さな里なので、田園風景に癒やされながら、ゆっくりと巡ってみるのも楽しいですよ。

 

今回ご紹介した奈良旅のスポット

 

名称:明日香村
住所:奈良県高市郡明日香村大字岡55
アクセス:近鉄吉野線「橿原神宮前駅」、「飛鳥駅」からバス、車で約10分
参考リンク:明日香村観光ポータルサイト

 

あらき 獏(ばく)あらき 獏(ばく)

情報誌の編集者を経て、現在は文化、歴史系フリーライター。歴史を側面から探ることで、歴史の謎解きを楽しんでいます。

 

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