京都・菊乃井、料理に季節を映し出す、名料亭が生み出す京懐石を味わう京都旅
東山の「菊乃井」。京都を代表する料亭の1つであり、日本はもちろん、海外からも訪れる人たちが後を絶たない名料亭。今回は料理に季節を映し出す、ある日の菊乃井のひと時をご紹介する旅です。
日本が誇る食文化の極みは京都にあり
京都の街中には1000年を超えて暖簾を守る店や、伝統を受け継ぎながらも創意工夫を加え、新たな価値を生み出す人々が多く暮らしています。特に食べ物、料理に関しては日本中から修行したい、学びたいという人々が数多集まり、中学校卒業と同時に地方を出て、京都で一人前の料理人になるべく、修行に入るという若者もいるほどです。
京都を代表する料亭の1つ「菊乃井」
京都の街には数多の名店がひしめき、多くの客で賑わう飲食店も多々ありますが、地元の京都人が考える名店と、観光客が訪れる名店には、差や違いのようなものがあったりもします。近年は東京から進出して店を構え、京都の味を謳う店が増えたり、地方から京都に店を構え、京都を本店として名乗る店もあるため、京都の中で地元市民に長く愛される店作りを行なっている飲食店と出会うのは、ある意味簡単な事ではなくなっているようにも思います。
そんな中で今回ご紹介するのは、京都を代表する料亭の1つであろう「菊乃井」。東山の菊乃井か、岡崎のつるやか、食べる事が大好きな京都人たちも喜んでいきたくなるであろう2つの料亭のうちの1つを、少し取り上げてみたいと思います。
京都の名水に由来する料亭
日々多くの観光客で賑わう円山公園やねねの道。ここから少し山側へ入ったところに広がる980坪もの敷地。洛中の喧騒から少し離れた場所に佇む菊乃井は大正元年創業の料亭。屋号は京都の名水「菊水の井(井戸)」を代々守り続け、その名水を使って料理を作るようになった事に由来すると言います。そしてそれ故なのか「水」に対するこだわりは強く、東京・赤坂の店で使用する水でさえも京都から運ぶと聞きます。
ひと皿に季節を映し出し、目で見てそれを味わい、食べて幸せを感じる。まさに菊乃井で振る舞われる料理の数々は見ているだけでも楽しくなるほど。菊乃井の料理は年や季節に合わせて変化していってしまうため、ここではある夏の夜の懐石の様子を、以下に写真でご紹介していきたいと思います。
この日は長寿を祝うための一夜。お祝いの意味を込めた膳が用意されていました。
ビールで喉の渇きを癒しながら、少しずつ箸に手を。頬付(ほおづき)の中には五種の味わいが。この八寸を通して、季節の色、移り変わりを感じる。そして冷酒が美味しくなってくる。
確かいちじくの西京煮だったと思います。大好きな西京味噌の味わいが優しく、また美味しい。
蓮の葉を皿に見立てて味わうお造り。明石の天然鯛はまた旨く、この料理の色合いもとても印象的でした。
器の上のフタが本物の賀茂茄子。中には賀茂茄子の揚げ出し料理が。また1つ工夫のある一品でした。
鮎の塩焼き。京都では滋賀県の北部、安曇川周辺の鮎が好まれていると思いますが、沢の水々しさの上に香りの良い鮎の姿が。敢えて選んで、やや小ぶりの鮎を使用しておられるようで、食感はもちろん、ふっくらした身とほろ苦さも、最高の味わいでした。
氷鉢。なんと1つずつ天然氷を削って作っているそうです。車海老の下からは素麺が出てきました。この上ない涼が感じられる一品。
その他にも素敵な料理に出会えたのですが、つい箸に手が伸び、お酒が進み、楽しいひと時を満喫してしまいました。この上なく素敵な料亭「菊乃井」、一度は訪れてみるべき。食べる事の幸せ、四季の彩りが感じられる場所、とてもお薦めです。
今回ご紹介した京都のスポット
名称:菊乃井(京都本店)
住所:京都市東山区下河原通八坂鳥居前下る下河原町459
営業時間:昼懐石の場合は12:00~13:00入店まで/夜は17:00~20:00入店まで
定休日:不定休
レキタビ編集部
歴史スポット巡りや観光、老舗の歴史飯を味わう旅って案外楽しい!と言って頂けるような情報を発信したいと思います。