トップ > 九州・沖縄地方 > 大分県 > 肥後街道・今市宿の石畳道、加藤清正や坂本竜馬も歩んだ道と郷土の味わいを巡る旅

肥後街道・今市宿の石畳道、加藤清正や坂本竜馬も歩んだ道と郷土の味わいを巡る旅

記事公開日:2015/09/08

かつて肥後から豊後へと続く、全長約124kmの道をつないだ肥後街道。加藤清正や伊能忠敬、勝海舟や坂本竜馬も駆け抜けたという街道の宿場跡を訪ねてみました。今回は今市宿の石畳道と、郷土グルメの人気スポット、若妻の店をご紹介していきます。

00045.jpg


大分市南部の山深い場所に、豊後と肥後をつないだ歴史街道

 

ここは大分県大分市今市。大分市の南部に位置し、高原リゾートが楽しめる久住から、熊本・阿蘇方面へと抜ける、国道442号線が走っているルート。今でこそ市町村合併により大分市となっているものの、以前までは野津原町という小さな町の一部で、コンビニも数軒しかないほどの田舎町の一部でした。

 

この山深い場所には1つの歴史スポットが残されています。「肥後街道・今市宿の石畳」と呼ばれるその場所は、江戸時代、大名の参勤交代の際などに利用された宿場でした。肥後街道(熊本側から見ると豊後街道とも呼ばれる)は、肥後の国(現在の熊本市)と豊後の国(現在の大分市鶴崎)をつなぐ、全長124kmの街道で、肥後の国から参勤交代で江戸を目指すには、最短で瀬戸内海に出る事ができ、大坂から江戸へと向かう事ができる道であったそうです。

 

そしてここ今市宿は、織田信長や豊臣秀吉に仕えた中川清秀の子、中川秀成が豊後・岡藩の大名となって治めていた所領の一部で、この宿場の石畳の道を整備した人物と言われています。

 

肥後街道・今市宿を示す看板

 

今市宿の石畳を歩んだ、加藤清正、伊能忠敬、勝海舟と坂本竜馬

 

今市宿の石畳の道の近くにはこんな看板が。江戸時代当時、熊本城を出てから肥後街道を通り、海に出る鶴崎宿に辿り着くまでは、合計で5日間ほどの道のりであったようです。肥後街道には大きく5箇所の宿場があったようですが、この今市宿については小休止の場として利用される事が多かったようです。

 

そして看板には、この今市宿とゆかりのある人物の名前も書かれていました。加藤清正、細川忠利、伊能忠敬、勝海舟と坂本竜馬、歴史上のビッグネームたちが並んでいます。加藤清正も肥後から阿蘇、そしてここを通って海に出て、大坂や江戸へと向かったのですね。ちなみに勝海舟と坂本竜馬は、幕末の四国艦隊の下関砲撃事件の際、砲撃中止の交渉を長崎で行うために神戸から海路で九州に上陸し、肥後街道を抜けて長崎へと向かったそうです。

 

今市宿の石畳①

 

江戸時代の参勤交代の記憶が、石畳として残る場所

 

これが大分県指定の史跡になっている今市宿の石畳。江戸時代当時の石畳が今も残されている場所で、道幅は約8m、そのうちの中央約2mが石畳となっています。ここには全長で約660m分の石畳が今も残っていて、街道の石畳沿いには当時の面影を偲ばせるように、民家が建ち並んでいます。

 

この地域一帯は山深く、目立った観光スポットもない場所です。地元大分県の人々であっても、「今市」と尋ねると、「どこ?」という人も多いくらい、少々マニアックな場所です。熊本方面へと向かうために、自動車で国道を走る人は多いのですが、この石畳の存在を理解している地元の人はまだまだ多くありません。

 

今市宿の石畳②

 

古き石畳の苔や草が、かつての歴史の空気を伝える

 

少し寂しさも感じられる、山の集落の風景の中にこの石畳はあります。過疎や高齢化が進むこの地域のことを思いながら、かつての歴史の記憶に触れる。子供の頃、この近くまでは来ていたものの、こういった場所があることは知りませんでした。

 

現在は石畳以外、当時の建物などは残されていませんが、かつてはこの街道の石畳沿いに、馬泊め屋や、旅籠、薬屋、酒屋などが軒を並べて建ち並んでいたそうです。唯一、石畳の間に生えている苔や草が、古き時代の空気を伝えてくれているような気もします。

 

堀田屋(馬泊め屋跡)

 

藤屋(旅籠跡)

 

萬屋(くすり屋跡)

 

今市宿の寺、萬生寺(ばんしょうじ)

 

毎年1万本近くの竹灯篭を並べて行われる「今市石畳まつり」

 

ここ今市ではこの歴史道の記憶を後世へと伝えるために、毎年9月に「今市石畳まつり」というイベントを行なっているそうです。まつりの当日の夜には、約1万本近くの竹灯篭を設置し、灯りの幻想的な雰囲気の中で地元の神楽「丸山俚楽」などが行われているそうです。

 

ちなみに丸山俚楽という地元の神楽も、その継承自体が危ぶまれていたそうですが、地元有志たちの熱意によって、今もなんとか守られているようです。全国各地の伝統文化は、こういった地元の人たちの善意と努力によって支えられているものだと、改めて知りました。


参考リンク1:今市石畳まつり
参考リンク2:伝統継承 丸山俚楽の保存会発足

 

今市宿の石畳から近い場所にある若妻の店

 

石畳の近くに地元でも評判のスポットが。その名も「若妻の店」?!

 

最後にこの歴史スポットの近くにある人気グルメをご紹介。その名も「若妻の店」!というこちらのお店は、昔の山奥のドライブインの食堂を思わせるような、貴重な存在の場所。こちらには大分の郷土の味があり、地元大分の中でもあそこは美味しいよと評判になっているお店です。

 

若妻の店のメニューと外観

 

「若妻の店」というネーミングに興味津々!という方もいらっしゃるかもしれません。え~と、うまく説明するのは難しいのですが、「心は永遠の若妻!という奥さま方(苦笑)」が愛情を込めて、郷土の手料理を振る舞ってくれるお店ですよ。

 

若妻の店のジャンボいなり

 

一番人気は「ジャンボいなり」。九州大分の、少し甘辛い味わいの炊き込みご飯を、旨味がたっぷりと染みたいなりで包んだ逸品。一パックで男性の方のお腹も十分に満たせる大きさですよ。

 

大分名物のやせうま

 

さらにこちらは大分名物の「やせうま」。きな粉をまぶして食べる「おやつ」のような食べ物で、スイーツ好きの方や、子供たちが大好きな味わいでもあると思いますよ。

 

地元で採れた野菜の直売も

 

その他には地元で採れた野菜たちの販売も。形や大きさは様々だけど、素朴さがあって、味も美味しい。そんな食材たちが日替わりで並んでいます。週末になると、「若妻の店」は家族連れなどで賑わっています。人気の食事メニューは早い時間に売り切れになってしまう事もあるそうですよ。


名称:肥後街道・今市宿の石畳
住所:大分県大分市今市
見学時間帯:一般の生活道路なので随時見学は可能


名称:若妻の店
住所:大分県大分市今市2654-2
営業時間:9:00~18:00(冬季は9:00~17:00)
駐車場:店の前に10台程度は駐車が可能


plastictレキタビ編集部

歴史スポット巡りや観光、老舗の歴史飯を味わう旅って案外楽しい!と言って頂けるような情報を発信したいと思います。

 

大分の人気宿ランキング

関連するお薦め記事

人気があって、しかも満足度が高いという宿はどこ?日本全国の旅館の中から上位30の宿をランキングでご紹介!
憧れの絶景宿、文化の香り高い老舗宿、そしてコスパ力の高いお得な宿も!ネット予約で5%のポイント還元!
テーマで旅行スポットを探す
地域で旅行スポットを探す