国東半島・両子寺、謎多き六郷満山文化が花開いた秘境100選の地を訪れる歴史旅
仏の里、神仏習合発祥の地、更には修験道発祥の地などとも言われる国東半島。謎多き六郷満山という独自の仏教文化が花開いたこの地で、その中心的な存在であった両子寺を訪れる歴史旅をご紹介。
知られざる秘境の地、国東半島
大分県の玄関口とも言える大分空港がある国東半島。一見すると海と山、そして田畑が果てしなく広がる昭和の片田舎という雰囲気が漂うこの地。決してメジャーな観光地ではないものの、実は「仏の里」「神仏習合発祥の地」はたまた「修験道発祥の地」という説があるほど、歴史の謎に満ちたスポットです。
日本の秘境100選にも選ばれているこの地は、古来の渡来人が土着して開け、山岳修行の場として発展し、奈良時代から平安時代にかけては「六郷満山(ろくごうまんざん)」と呼ばれる独自の仏教文化が花開き、国東半島の各地に多くの寺院が建立されたと言います。
また、国東半島の付け根に当たる場所には、奈良時代に朝廷を揺るがした「道鏡事件」で名高く、全国約44,000の八幡宮の総本社でもある「宇佐神宮」があり、この地はかつての日本の政治の表舞台であった場所とも言えます。
六郷満山修行の地、両子寺へ
仏教と宇佐神宮の八幡信仰、さらには修験道が結びついて花開いたという六郷満山文化。そして国東半島内の安岐、武蔵、国東、来縄、田染、伊美という6つの地域(郷)に由来するというこの仏教文化の中心的な存在であり、山岳修行の根本道場であった場所が「両子寺(ふたごじ)」だと言います。
国東半島の真ん中、両子山の中腹という場所に位置する天台宗寺院の両子寺は、秋の紅葉が美しいスポットとして知られ、子宝のご利益がある寺、名水の寺、パワースポットの地などとも言われ、近年は主に県外からの観光客が多く訪れている寺になっています。
両子寺の七不思議伝説
ちなみに両子寺には「七不思議伝説」というものがあるそうなので、ご紹介しておきたいと思います。
【1】走水観音
寺の西方の山際にある観音様の下から湧き出る貫水は干ばつでも無くならず、雨季でも増水せず、常に一定の水量を保ち、水温も変わらない
【2】無明橋
橋の下に観音様を祀ってあり、この橋を渡ると不思議と信仰心が湧き起こると伝えられ、牛や馬が渡れば落橋すると言われる
【3】鬼橋昔
千徳坊という力持ちのお坊さんが、山から引きおろして橋にしたと伝わる大石がある
【4】しぐれ紅葉
境内にあるこの紅葉の下に立ち、上を見上げると、晴天の日でもしずくが落ちると言われている
【5】針の耳
山腹に岩が重なり合い、その隙間を通るのが、針に糸を通すように難しそうなところがあるが、不思議と容易に通り抜けることができるという
【6】鬼の背割
山腹に昔、千徳坊という力持ちのお坊さんが、背で割って通路を開けたという2つの大岩が立つ
【7】鹿のツメ割
山頂へ登る道の途中にある大きな石に、親子鹿の大小の爪跡が残っている
※上記七不思議の内容は両子寺公式サイトから転載させて頂きました。
国東半島の石造文化の代表作、両子寺の仁王像
実は大分県は日本で最も石仏が多い地と言われ、更に国東半島は石造の仁王像が日本で最も多い地と言われています。そして両子寺の山門前に立つこの仁王像はその代表作とも言えるような存在で、この力強さ、たくましさがとても印象的です。
ちなみに仁王像の足元には「足腰の悪い方は仁王像の足をさすって強い足にあやかってください」と書いたプレートが立っていて、いつしかこの屈強な仁王像の姿にあやかり、ご利益を求める人もいるようです。
この仁王像が立っている場所は秘境感溢れる山の奥地。山から湧いた名水が轟々と音を立てて流れ、苔むした不揃いの石段が歴史を感じさせ、高くそびえる木々たちがうっそうと茂る。およそ1,300年もの間に、幾多の修行僧がこの地を訪れ、悟りの境地を目指したのか。この日は台風が訪れていたため、ほんのひと時の滞在ではありましたが、かつて修行先人たちの想い、空気感が未だに漂っているかのような場所でありました。
名称:両子寺(ふたごじ)
住所:大分県国東市安岐町両子1548
拝観時間:8:00~17:00(12月から2月は8:30~16:30)
アクセス:大分空港から車で約45分程度
駐車場:両子寺内に100台分の無料駐車場あり
レキタビ編集部
歴史スポット巡りや観光、老舗の歴史飯を味わう旅って案外楽しい!と言って頂けるような情報を発信したいと思います。
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