日本三名園に数えられる水戸の偕楽園、世界屈指の広大な庭園で四季折々の花の彩りを楽しむ旅
茨城県水戸市の偕楽園(かいらくえん)は、岡山の後楽園、金沢の兼六園と並び、「日本三名園」の1つに数えられます。ここは江戸時代後期の水戸藩主、徳川斉昭によって造られた日本庭園で、国の史跡及び名勝にも指定されています。広大な園内には100種3,000本もの梅が植えられ、早春には多くの観梅客で賑わう名所。今回は日本の美が残る名庭園で四季の彩りを楽しむ旅へとご案内します。
※写真は偕楽園の梅林
四季を通じて花々が咲き誇る。偕楽園の庭園と広大な周辺園地
天保12年(1841年)、水戸藩の第9代藩主であった徳川斉昭は、千波湖に臨む七面山を切り開き、領内の民と偕(とも)に楽しむ場にしたいと言い、庭園の造成を開始しました。造成にあたっては斉昭は自ら構想を練り、翌年には「偕楽園(常磐公園)」が開園しました。
開園した偕楽園は千波湖や周辺の景観が一望できる高台に位置し、市街の中心にあるとは思えないほど豊かな自然と壮大な景観を誇っています。この偕楽園は「梅の名所」としても名高いですが、春には桜、初夏にはつつじ、そして真夏には緑鮮やかな孟宗竹や杉林、秋には萩や紅葉、初冬には二季咲桜など、一年を通じて四季折々の花々が楽しめます。
偕楽園の眼下に広がる千波湖や桜川周辺には新しい園地が拡張され、梅林や芝生園地、水鳥が遊ぶ月池などが点在、壮大な園地を形成するに至っています。この新しい園地を含めた「偕楽園公園」は東京ドーム約64個分の広さを誇り、今ではアメリカ、ニューヨークにあるセントラルパークに続き、都市公園としては世界第2位の広さ(面積)となっています。
※写真は梅林から望む月池と桜川
歴史に彩られた名勝や新しいスポットも。偕楽園の見所は多彩
偕楽園の園内の東側には「東西梅林」が広がっています。ここは天保4年(1833年)に梅の種子を江戸から運んで約1万本もの苗木を栽培し、100種、3,000本の梅林を造成したもので、品種が豊富なことでも知られています。毎年早春になると、東西梅林は観梅客で賑わうスポットにもなっています。
また、梅林の西には竹林「笹の叢」や「孟宗竹林」、老杉の林「大杉森」が広がり、閑静な散策路も作られています。周辺には「南崖の洞窟」や茶の湯に使ったという湧水「吐玉泉」、そして樹齢800年の「太郎杉」などの名勝が点在。加えて園内には「偕楽園記の碑」、そして水戸八景の1つである「僊湖莫雪の碑」、「正岡子規の句碑」など、多くの石碑も建てられています。
※写真は偕楽園の芝生園地
園内南の高台に建つ「好文亭(こうぶんてい)」。この好文亭は斉昭が詩歌などの催しや茶会を行うために建てたもので、斉昭自身の設計によるものと言われています。2層3階建ての好文亭本体と平屋の奥御殿からなる建物で、各所に創意と洒脱さを感じさせる建築。3階にあたる「楽寿楼(らくじゅろう)」からの眺望は特に絶景です。
偕楽園直下の千波湖や月池、桜川の周辺に広がる新しい園地には、梅林、紅葉谷、螢谷、四季の原、芝生園地、水鳥の池などが点在し、茶屋やカフェなどもある癒やしのスポットとなっています。
※写真は高台に建つ好文亭
梅まつりをはじめ、四季を通じて開催される花のイベントも人気
2月下旬からの「梅まつり」の時期になると、偕楽園下にはJRの臨時駅が開設され、全国から多くの観梅客が訪れます。特に観梅デーは野点茶会や野外琴などの会も行われ、観梅客らの人気を集めています。また、3月上旬になればライトアップ「光の散歩道」が開催され、幻想的な景観を楽しむ事ができるようになっています。さらに4月には「桜まつり」、そして4月下旬からは「つつじまつり」、9月の「萩まつり」など、四季を通じて花のイベントが開催されています。
※写真は偕楽園の梅林。園内には桜、つつじ、萩なども植えられ、四季を通じて花の香りに包まれます
今回ご紹介した茨城県水戸市の旅行スポット
名称:水戸偕楽園
住所:茨城県水戸市常磐町1-3-3
開門時間:(2/20~9/30)6:00~19:00(10/1~2/19)7:00~18:00
入場料:無料(好文亭は大人200円、小中学生100円)
アクセス:JR常磐線「水戸駅」茨城交通バス偕楽園前行き「偕楽園、常磐神社前」徒歩すぐ
駐車場:各所に専用駐車場あり(有料)
参考リンク:偕楽園公式サイト
あらき 獏(ばく)
情報誌の編集者を経て、現在は文化、歴史系フリーライター。歴史を側面から探ることで、歴史の謎解きを楽しんでいます。
水戸の人気宿ランキングをチェック