成田山新勝寺、お不動さまの霊験に触れ、護摩祈祷や節分会で知られる人気霊場を訪れる旅
千葉県成田市にある「成田山新勝寺」は東国鎮護の寺。不動明王を祀り、江戸時代から「成田のお不動さま」と呼ばれて親しまれ、このお不動さまは心の迷いや煩悩を取り除いて人を救うとされています。今回は日々参拝客で溢れる全国有数の霊場を巡り、お不動さまのご霊験を感じ取る旅へとご案内します。
※写真は成田山新勝寺の大本堂
広大な境内に広がる大伽藍。ここは年間1,000万もの参拝客が訪れる大霊場
千葉県成田市の「成田山新勝寺」は、1,000年以上もの歴史を誇る東国鎮護の寺院。真言宗智山派の大本山であり、弘法大師開眼の不動明王像を本尊とし、「成田不動」とも呼ばれています。この地の広大な境内には、大本堂をはじめ釈迦堂や光明堂、三重塔、額堂などの国重要文化財が散在しています。
新勝寺では願いごとの成就を祈り、開山以来一日も欠かさず行ってきたとされる「護摩祈祷」が人気を呼び、年間1,000万人以上の参拝客が訪れる全国有数の霊場とされます。特に初詣時期の参拝客は明治神宮に次いで全国2位、千葉県内では1位とされる場所となっています。

※写真は総欅造りの総門。不動明王や千手観音、大日如来など8体の仏像が安置されます
江戸の町で庶民の人気を集めた「成田のお不動さま」
新勝寺は平安時代中期に起きた平将門の乱の平定のため、宇多天皇の孫にあたる寛朝大僧正によって、天慶3年(940年)に開山されました。その後、新勝寺は東国鎮護の寺院として栄えていきますが、戦国時代の戦乱期には荒廃してしまいます。
しかし、江戸時代になるとたびたび江戸で新勝寺の「出開帳」が行われ、歌舞伎役者の市川團十郎が成田不動に帰依して「成田屋」の屋号を名乗り、不動明王が登場する芝居をうったこともあって、「成田のお不動さま」は江戸庶民の信仰を集めていき、新勝寺への参詣が栄んになります。
そして明治維新以降は新勝寺の「身代わり札」が鉄砲玉から身を守るとされ、日清戦争、日露戦争などに出征する軍人や兵士の信仰を集めました。

※写真は本堂の傍に建つ三重塔。江戸時代中期から末期の建築とされる三重塔と、釈迦堂、光明堂、額堂、仁王門の5棟は国の重要文化財にも指定されています
お不動さまの霊験にあやかる、新勝寺大伽藍の歩き方
JR、京成電鉄の成田駅から新勝寺へは寺の表参道が延びています。この表参道には150店以上の土産店や飲食店が軒を連ね、10分ほど歩いた先に新勝寺の伽藍が広がっています。
また、壮麗な総門をくぐり、石段を上がって仁王門を抜けていくと、正面には「大本堂」が現れます。この大本堂で本尊のお不動さまにお祈りをし、旧本堂の「釈迦堂」、「光明堂」などを参拝していきます(旧本堂を巡れば新勝寺の歴史をたどることができます)。
そして大本堂の手前には三重塔、一切経蔵などが建ち、左手には釈迦堂、背後には額堂、光明堂、開山堂、平和大塔などが並んでいます。加えて境内の東には広大な成田山公園があり、3つの池が配された風情あふれる庭園風景が広がっています。

※写真は「平和大塔」。境内最奥に建つ高さ58mの多宝塔型の仏塔で、五大明王の巨像や曼荼羅、絵馬などの文化財が収蔵されています
新勝寺では願いごとの成就を祈る「護摩祈祷」や「厄除けのお祓い」などが人気ですが、その他にも「文化講座」や「法話を聞く会」などの催事、そして「写経体験」や「密教坐禅」「断食修行」などの体験、修行会も行われています。
また、毎年2月3日に行われる新勝寺恒例の「節分会」は特に有名で、特設舞台において豆まきが3回行われ、1回目と2回目には人気の大相撲力士とその年のNHK大河ドラマの出演者が、特別年男として豆まきに参加しています。
今回ご紹介した千葉県成田市の旅行スポット
名称:成田山新勝寺(なりたさんしんしょうじ)
住所:千葉県成田市成田1
開門時間:8:00~16:00
アクセス:JR成田線「成田駅」、京成電鉄 「京成成田駅」から徒歩約10分
参考リンク:成田山新勝寺公式サイト
あらき 獏(ばく)
情報誌の編集者を経て、現在は文化、歴史系フリーライター。歴史を側面から探ることで、歴史の謎解きを楽しんでいます。