昔話に出てくる場所はどこ?日本の昔話にゆかりのあるスポットを巡る旅10選
日本には数々の昔話や民話、伝説があります。そして皆さんの中にも、まだ小さな子供だった頃、様々な日本の昔話を聞いて、観て育ったという方も多いのではないでしょうか?そこで今回は日本の昔話をテーマに、ゆかりあるスポットに関するWebアンケートを実施。今も言い伝えられている、昔話ゆかりの歴史スポットについて、皆さんから寄せられた情報をご紹介していきたいと思います。
【1】女木島(鬼ヶ島)と桃太郎(香川県高松市女木町)
誰もが知る童話「桃太郎」で鬼ヶ島と呼ばれているのが、瀬戸内海に浮かぶ女木島です。高松港からはフェリーに乗って約20分で到着する事ができます。女木島の中央には「鬼ヶ島大洞窟」という全長400メートル、面積約4,000平方メートルの迷路状の洞窟があります。この洞窟では鬼達が財宝を隠していた金庫、鬼が誘拐した女性を監禁したという部屋、鬼の大将が住んでいたという部屋なども見ることができます。また、全国の鬼伝説をまとめた「鬼ヶ島おにの館」というスポットもあり、ここは総合案内所として運営されています。この施設には全国の鬼が集まる「鬼の間」と、特産品を展示即売する「鬼の市」があって人気を集めています。
【2】浦嶋神社の浦島太郎伝説(京都府与謝郡伊根町)
おとぎ話に出てくる竜宮城の話、浦嶋太郎の伝説が伝わる場所です。伊根町には浦嶋神社というという神社があり、浦嶋太郎の伝説がずっと伝えられてきたそうです。また、隣の京丹後市網野町にも浦島太郎の伝説が伝わっていて、丹後国風土記にも記録が残されています。こちらには浦島太郎と亀が祀られた嶋児(しまこ)神社という神社があり、この周辺は浦嶋太郎と乙姫様が出会った場所とも言われ、嶋児神社の対岸には乙姫様を祀った西浦島神社もあります。この京都の浦島伝説の場所は私の実家の近くであり、神社の前には綺麗で美しい海が広がっていて、風情もあって楽しめると思います。紹介した網野町から伊根町までは、車で30分くらいの距離です。
【3】荘内半島の浦島太郎伝説(香川県三豊市詫間町)
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この町にある荘内半島には浦島太郎の伝説が伝わっています。周辺には玉手箱を開けたと言われる場所や、浦島の母の生家があったとされる場所などもあります。この辺りでの見所は何と言っても周辺の景観です。海沿いに道があり、瀬戸内海の穏やかな景観を堪能することができます。また、周辺のドライブも良いのですが、サイクリングをするのにもぴったりのコースとなっています。適度なアップダウンに舗装された道路、交通量も少なくて非常に走りやすい道です。景観を堪能しながら歴史散歩をすることができると思います。
【4】白兎神社と因幡の白兎(鳥取県鳥取市白兎)
この神社は「因幡の白うさぎ」の舞台となった神社です。神社に行くまでの道沿いには「御手洗池」という池があります。ここで白うさぎが傷口を洗い流し、そして傷を癒したとも言われています。神社の周りには白兎海岸という海もあり、夏場は多くの人たちが訪れています。この神社は道の駅の上にあるため、お土産を買ったり食事を取ったりすることもできます。道の駅から階段を上がって神社へと向かいますが、着くまでには少し距離があります。階段の途中などにもうさぎのモチーフの石造が置かれていたり、階段を登りきるとすぐに御手洗池も見えてくるので、歩くだけでも会話が広がる歴史観光のスポットだと思います。
【5】東出雲町の黄泉比良坂伝説(島根県松江市東出雲町揖屋)
日本の神話で黄泉の国(あの世)と現世(この世)の境目と言われた場所です。亡くした妻のイザナミを取り戻したいと考えたイザナギが、黄泉の国(死者の国)まで彼女を迎えに行くが、「決して振り返ってはならない」という彼女との約束を破ってしまったため、既に醜く腐ったイザナミの姿を見てしまい、逃げ出してしまいます。それに怒ったイザナミは黄泉の者たちを連れてイザナギを追いかけるが、イザナギは様々な手を使ってこの黄泉比良坂までなんとか逃げ切り、「千引の岩」と呼ばれる巨大な岩で、あの世とこの世の境を封鎖してしまいます。怒ったイザナミは閉ざされた岩の向こう側から、「地上の人間を一日千人殺してやる」と呪い、それに応えてイザナギは「ならば私は千五百人を生もう」と返した。そんな修羅場が繰り広げられたスポットでもあります。
この場所は観光として向かうには交通の便が悪く、最寄駅と思われる「揖屋駅」からは徒歩で30分ほどかかったと思います。森の中の空き地にひっそりと碑が立ててあり、悪く言えば地味な風情ですが、なんとなく神々しくもおどろおどろしい雰囲気に満ちていて、あの世を垣間見るような気分が味わえます。イザナギが置いたとされる「千引の岩」も見ることができ、特に柵なども設けられてはいないため、その奥へと入って行こうと思えば行けるのでしょうが、その奥の森が、本当にあの世につながっているかもしれないと想像させるに十分なほど、オーラたっぷりの地でした。
【6】金長神社の阿波狸合戦(徳島県小松島市中田町)
徳島県に伝わる民話の中に阿波狸合戦があります。その主人公である金長狸を金長大明神として祀ったのが、小松島市中田町にある「金長神社」です。阿波狸合戦は戦前から何度も映画になり、ジブリの「平成狸合戦ぽんぽこ」でも一部がモチーフとなりました。江戸時代、小松島の商人に命を助けられた金長狸は、人間に化けて商人の家へ奉公して商人を助けます。
その後、狸の位を上げようと、津田の六右衛門という狸に弟子入りしますが、これが悪い狸で金長の高い能力を恐れ、闇討にして殺そうとするのです。何とか小松島まで逃げ延びた金長は、近くの狸を集めて六右衛門の軍勢と戦うといった話です。金長神社では毎年春に、市を挙げて「金長まつり」が開かれていて、多くの人で賑います。神社の近くの小松島ステーションパークには、狸の銅像としては世界で最も大きい金長像があり、像の前に立って手を叩けば滝の水が流れます。金長の他にも大小たくさんの狸像があり、子供たちにも喜ばれています。
【7】本所の置いてけ堀(東京都墨田区錦糸町)
昔、本所に住んでいた釣り好きの男が、錦糸町の堀で釣りをすると化け物が出るという噂を聞き、その堀へと釣りに出かけた。すると大層多くの魚が釣れた。しかし、釣りを終えて帰ろうとすると「おいてけぇ。おいてけぇ。」という声が聞こえ、驚いた男は家へと逃げ帰った。そして帰ってみると、たくさんの魚を入れておいたカゴの中身は空っぽになっており、二度と男はその堀に近づかなくなったと言います。この話の正体には諸説があり、一説では河童の仕業とも言われています。江戸の本所を舞台とした本所七不思議の話の1つで、置き去りを意味する「置いてけぼり」という言葉の起源にもなっています。現在、錦糸掘公園には河童の像があり、この「おいてけ堀」の由来が記されています。
【8】光前寺と霊犬早太郎の伝説(長野県駒ヶ根市)
Kohzen-ji(temple) / 光前寺(こうぜんじ) / TANAKA Juuyoh (田中十洋)
Kohzen-ji(temple) / 光前寺(こうぜんじ) / TANAKA Juuyoh (田中十洋)
静岡県磐田市見付(現在)の天神には、8月10日に若い娘の生贄を差し出すという風習があったと言います。しかし天神さまが生贄などを要求するはずもなく、魔物の仕業に違いないと疑わしく思った旅のお坊さんが、ついにある夜にその魔物の姿を見ます。そしてその時に魔物は「早太郎には見つかるまい」とつぶやいて娘をさらって行ったそうです。その後、お坊さんは早太郎を信州で探し出しました。長野県駒ヶ根市の光前寺で飼われていた白い犬こそがその「早太郎」でした。
勇敢な犬であった早太郎は山を走って磐田まで辿り着き、天神の魔物(老ヒヒ)と戦って魔物を倒しました。それ以後、天神では生贄を差し出す事はなくなったものの、光前寺に戻った早太郎は戦いの傷が元で死んでしまいます。今、光善寺の本堂には早太郎が祭られていて、そのお墓が現存しています。一方の静岡県磐田市見付では、早太郎は悉平(疾風)太郎と呼ばれて手厚く霊犬として祀られ、なんと磐田市のゆるキャラにまでなりました。尚、光前寺はひかり苔の参道も有名で、高い杉林と合わせて大変に荘厳な雰囲気になっています。
【9】富山と南総里見八犬伝(千葉県南房総市)
南房総市にある富山という山に登ると、八房と伏姫が本当にいたように感じてしまうような空気感があります。里見の殿様が、敵の首を取ってくれば娘「伏姫」を褒美に渡すと言って飼い犬「八房」と交わした口約束。殿様にとってはただの口約束であっても、飼い犬の八房にとっては違いました。そして見事に敵の首を持ち帰った八房は、里見のお城から近い富山へと伏姫を連れて走り去ります。そこで伏姫は後の八犬士を身ごもります。その山がこの千葉県の富山であり、2人がともに過ごしていたかのような祠があり、富山に登ると八犬伝の世界に入ったような気分が味わえます。個人的にはまるであの話が本当の話だったのかと錯覚してしまうほどに感じます。
【10】帚木(ははきぎ)伝説の木(長野県下伊那郡阿智村園原伏屋)
帚木(ははきぎ)伝説。それは遠くからは立てた箒(ほうき)のように見えるのに、実際に近づいてみると消えてしまうという不思議な伝説の檜の木です。また、この話から転じて「逢いたいと思っても逢えない人」といった意味で使われることもあります。長野県阿智村園原の月見堂の裏手には、今も木の根元だけが残っています。
少し話は変わりますが、「ブロッケンの怪物」という自然現象があります。雲や霧をスクリーンにして光が当たり、影に七色の五光が射して見えるという現象です。巨大な人間のように見える事があり、手を振れば同じく手を振って返す為に雪男などのようなモンスターの一種と考えられてきました。帚木伝説もそれと同じ様な霊妙な存在であったのかもしれません。
レキタビ編集部
歴史スポット巡りや観光、老舗の歴史飯を味わう旅って案外楽しい!と言って頂けるような情報を発信したいと思います。