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地元中年の胃袋を支え続けて116年、桜木町駅で1日1000杯以上を作る老舗駅そば川村屋

記事公開日:2016/04/08

1900年の創業以来、116年に渡って桜木町駅付近で営業を続けている老舗の駅そば「川村屋」。今回は1日1,000杯以上を作り続けるこの店の歴史と人気メニューにまつわる話をご紹介。開発によって変わりゆくみなとみらい、桜木町エリアで、中年おじさんたちのオアシスとなっているこの店へとご案内します。

川村屋の鶏そば


日本で初めての鉄道が開業したのは1872年(明治5年)。東京の新橋駅と横浜駅を結ぶ路線での開業でしたが、実は初代の横浜駅は、現在の横浜駅とは場所が異なります。初代の横浜駅に当たるのは、現在のみなとみらいエリアにある桜木町駅となっていて、ここがその鉄道発祥の地でもあるのです。

 

そんな桜木町駅で116年に渡って、地元の中年の胃袋を支え続けている駅そばの老舗があるのをご存知でしょうか?南改札口のすぐ隣にある「川村屋」というこの駅そばが創業したのは1900年(明治33年)。当初は西洋スタイルの食堂としてスタートし、後に駅そばへと転換したというこの店は、あの初代内閣総理大臣、伊藤博文の口利きによって店舗の開設許可を得たというエピソードも残る店です。

 

川村屋の外観

 

この数年の桜木町駅の再開発によって、現在は小綺麗な外観の駅そばになってしまいましたが、以前までは南改札出口の正面に位置し、古びた暖簾をくぐって、これまたお世辞にも綺麗とは言い難い、味のある古びた店舗の中で、主に立喰い形式でそばをすする店でした。しかし、昔も今もこの店は地元の中年おじさんにとってのオアシスのような場所であり、1日1,000杯以上のそばを作り続けているそうです。

 

川村屋の店内

 

この数年の間に、以前の場所から30mほど移動して新店舗となった川村屋。すっかり今風の内装になってしまい、食券の券売機が導入されたのはちょっと悲しいのですが、この店のメニューと、そばを作るおばちゃんたちの姿は今も健在です。

 

注文の際におばちゃんのもとへ行くと、「うどん、そば、どっち?」「えっ?そばでいいのね?」「あと、いなり寿司もね」「はい、いなり一丁~」と、おばちゃんの声がこだまする。わずか5分、10分しか立ち寄らないであろうこの駅そばにも、古くからのお馴染みさんがいるようで、時折おばちゃんたちとの何気ない会話が聞こえたてきたりもする。そばを喰らう側のおじさんにも、そばを作る側のおばちゃんにもお互い人生あり。時折そんな風にも感じられる場所です。

 

人気となっている鶏そばセットのポスター

 

そんな老舗駅そば、川村屋で多くの人がお世話になっているであろうメニューが「鶏そば(いなり)セット」。このご時世に税込み510円という値段が有り難いのですが、川村屋マニアの人たちからすれば、以前は500円ワンコインだったぞ!なんて思うかもしれません。この小さな老舗駅そばにも、ちょっとした消費税増税の風が吹いているのでしょうね。

 

実際の鶏そばセット

 

そばの出汁と鶏肉

 

ついつい値段の話ばかりに触れてしまいましたが、川村屋が長年にわたって愛されている理由の1つがそばの出汁の旨さ。麺は他の駅そば同様の茹で麺なのですが、この化学調味料を使用せずに作っているという天然出汁が何とも旨いのです。鰹節のだしがよく効いていて香りも良く、ジーンとくる深みのある甘さ。いつもそばを食べにきているつもりが、出汁にハマって飲み干して帰るのです。また、そばの中に入っている鶏肉も、一晩ヨーグルトに漬け込んでから煮込んでいるのだそうで、この鶏肉の柔らかさと甘辛さも意外と見逃せない存在なのです。

 

そばをすする

 

さらに鶏そばセットに付いてくる「いなり寿司」もおばちゃんたちの手作り。このいなり寿司はちょっぴり小ぶりで甘めの味わいが特徴で、一口噛めばいなりからジュワ~っと甘さが溢れ出してきます。

 

カウンター席で目にする各駅停話と青汁

 

そして店内のカウンターテーブルでそばをすすっている時に、いつも目につくのがこの2つ。各駅停話という桜木町駅と川村屋にまつわる歴史の小話と、なぜかいつも推しメニューになっている「青汁」。最初はここで青汁なんて誰が飲むんだろう?などと思っていたのですが、毎回この内容を眺めているうちに、そろそろ一回飲んでみた方がいいのかな?なんていう気分になってきます。まだ私はこの遠藤青汁という青汁を飲んだ事がないのですが、実際に飲んだ事がある方は、ぜひ感想教えて頂きたいくらいです。

 

この10年以上大規模な開発が続き、一大お洒落タウンに変貌を遂げているみなとみらい、桜木町エリア。新しいものばかりが登場するこの街の中で、常に中年おじさんたちの居場所となり、胃袋を支え続けているこの老舗。今となってはこの上なく貴重な、生ける駅そばの老舗なのです。

 

今回ご紹介した横浜・桜木町のスポット

 

名称:川村屋
住所:神奈川県横浜市中区桜木町1-1桜木町駅構内
アクセス:JR京浜東北根岸線「桜木町駅」下車、南改札を出てすぐ右

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