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高砂・鹿嶋神社、御堂廻りや神前で香を焚く、珍しい風習が残る神社を訪れる旅

記事公開日:2016/01/04

気持ちも新たに迎える正月。今年一年の家内安全や無病息災などを、神社に参拝して願う方も多いと思います。今回は御堂巡りや神前で香を焚くという珍しい風習が残っている、兵庫県高砂市の「鹿嶋神社」を巡る兵庫旅をご紹介していきます。

兵庫県高砂市の鹿嶋神社


東播磨の鹿嶋神社。ここは奈良時代・聖武天皇の勅願による播磨の国分寺の東院として大日寺が建立された際に、鎮護の神として奉祀されたと伝わり、武甕槌命(たけみかづち)、経津主命(ふつぬしのみこと)の両神を祀っている由緒ある神社です。

 

 

国道2号線の阿弥陀の交差点を北上し、竿池の端を進むと、チタン製の大鳥居が待ち受けています。そしてその鳥居をくぐって進むと、鹿嶋神社の参道へと入っていきます。

 

 

約10分程度で鹿嶋神社の境内へ。参道を進み、階段を昇ると「割拝殿」へと入っていきます。

 

 

割拝殿を抜けると、目の前には重厚な本殿の姿が。神前で香を焚き、灯明を点ずるという珍しい慣わしが残っている神社です。

 

 

本殿横にも灯明と香を焚く舎があり、多くの方が線香を焚き、煙が舞っています。この鹿嶋神社の由緒には「香を焚く奇習」とも書かれています。

 

 

 

「御灯明舎」でロウソクを灯して立て、その火で線香を焚き「御香炉舎」に奉じてお祈りをします。そして本殿の周りを廻って願掛けを行うという「御堂廻り」の儀式。

 

 

本堂の左側には絵馬などを掛ける場所があり、千羽鶴も掛かっています。そのまま奥へと進むと、本殿の後ろを廻って右側へ出てきます。この神社で「願」を掛ける人たちはお堂を廻りながら祈ります。

 

 

そして本堂の裏には「摩(なず)りダルマ」というダルマが置かれています。ここで「1つの願いに祈りを込めてダルマ様を触れれば、その願いは叶う」と言われています。

 

鹿嶋神社に珍しい風習が伝わったのには理由がありました

 

歴史の長い鹿嶋神社ですが、戦国時代には試練がありました。天正6年(1578年)、中国攻略を狙った豊臣秀吉は毛利側の別所氏に対して三木合戦を仕掛けます。秀吉は三木城の包囲網を敷き、周辺地域を巻き込んで次第に戦いは拡大していく事になります。別所側の神吉城でも戦いが行われ、その戦火に巻き込まれ鹿嶋神社も神殿を除いて灰燼に帰してしまいました。

 

 

その後はしばらく荒廃しますが、寛文年間には新たな神社建立へ向けて動き出します。寛文5年(1665年)以降、姫路藩主の松平直矩公の各種寄進などを受けて神社は再建を果たします。

 

戦いの時代を経てから、武運長久を願う武将たちが出陣時に鹿嶋神社へと参拝し、燈明し香を焚いて我が身を鼓舞したと言います。その故事が次第に慣わしとなり、参拝者が神前で香を焚き、燈明を立てるようになったと言い、神社としては極めて珍しい風習が残っていったと伝わります。

 

 

このような試練を経て、ここは多くの願い事を願うのではなく、一点に絞って願えば叶うという「一願成就」の神社となりました。神社の由緒には、心身から邪念を絶ち、一心不乱に神の恩頼(みたまのふゆ)を祈れば、霊験あらたかになると言われています。

 

奉納された絵馬には、合格祈願や恋愛成就などの願いが多く書かれています。その思いの強さは多くの千羽鶴が奉納されている事からも伺えます。

 

 

帰りにおみくじを引いてみたのですが、残念ながら「半吉」でした。「よろず急ぐべからず。気を豊かに持つべし」とのこと。この一年は、焦らずに自重して過ごしていこうと思っています。新たな年を迎えた皆様にも、幸が多からんことをお祈りします。

 

今回ご紹介した兵庫旅のスポット

 

名称:鹿嶋神社
住所:兵庫県高砂市阿弥陀町地徳279番地
アクセス:国道2号線「阿弥陀」交叉点を北上

 

播磨翁播磨翁

兵庫県の播磨国に在住。ワクワク出来る歴史旅をご紹介できれば幸いです。個人的には謎がありそうなディープな歴史が好きです。

 

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