厳島神社は平安建築の美の極致。日本三景に数えられる景観と周辺スポットを歩く旅
厳島神社の真紅の社殿群と、海の青い水面の対比はこの地特有の景観であり、日本三景の1つにも数えられています。今回はまさに奇跡とも言えるような建築美を誇る厳島神社と、周辺スポットの魅力をご紹介していきます。
日本三景の1つ「安芸の宮島」。厳島神社は日本を代表する名勝
厳島神社は、広島県廿日市の宮島に鎮座する安芸国の一宮です。海上交通の神であり、宗像三女神を祭神とし、全国約500社の厳島社の総本社とされています。そしてこの地は古来より「安芸の宮島」と呼ばれ、日本三景の1つとされている名勝でもあります。海上に立つ「大鳥居」や朱塗りの社殿群が海に浮かぶ様は圧巻の景色です。
※写真は厳島神社の海上に立つ「大鳥居」
ちなみに厳島神社では欧米からの観光客をよく見かけます。厳島神社の美しさは世界有数のものと言われ、世界文化遺産に登録されて以来、欧米での人気も高まっています。
※写真は拝殿。社殿群の前面には高欄を巡らせた高舞台、その前には平舞台が広がって海とこの宮を一体化しています。海の女神たち「宗像三女神」を祀る宮
厳島神社の美しさの秘密。そして平安建築の粋、海上社殿の誕生の物語
平安時代末期、平清盛は日宋貿易を推し進め、瀬戸内海の航路を整備し、海上交通の守護として厳島神社を庇護します。瀬戸内海の要衝である大野瀬戸に面した厳島神社の海上社殿や舞台は、平清盛の寄進とされ、平安時代の寝殿造りの粋を極めたものだと言われます。
この地の朱塗りの社殿群と青い水面の対比、そして海上にそびえる大鳥居、背景の弥山の緑などは全てが計算し尽くされたもの。平安時代の浄土信仰における極楽浄土を表わしたものと言われます。また、この宮の最大の魅力は瀬戸内海の大きな干満差を利用した演出にあります。潮が満ちると社殿が海に浮かび、潮が引くと高床の様を見せ、その表情を刻々と変えていきます。
※写真は朱塗りの廻廊。廻廊と社殿群は国宝にも指定されています
※写真は宮島の象徴である海上の大鳥居。昔は海から舟でこの大鳥居をくぐり、参拝したと言われます
厳島神社の周辺には個性溢れる歴史スポットが多数
隣接する塔岡には「千畳閣」と呼ばれる巨大な大経堂があります。豊臣秀吉が安国寺恵瓊に建立させたものであり、豊臣秀吉の死によって未完成のまま残されています。そしてこの千畳閣の傍の「五重塔」は室町時代の建立で、均整のとれた美しい姿を見せてくれます。さらに厳島神社の裏手には風情溢れる「滝小路」や、タイムスリップしたかのような「町屋通り」、厳島最古の参道である「山辺の古径」などもあり、観光客の人気を集めています。
※写真は千畳閣。860畳もの大空間は壮観な景色です
※写真は西の丘陵の多宝塔。上層は円形、下層が方形という珍しい構造
厳島神社の背後にある弥山はパワースポット。恋人たちの聖地とも言われる
厳島神社の裏の紅葉谷から弥山まではロープウェイを利用して登れます。「弥山」は空海が開いた霊山であり、山上には堂宇が散在し、古代の磐座とされる巨石群はパワースポットとしても人気です。この堂宇には1,200年に渡って燃え続けている「消えずの火」があり、恋愛や縁結びのご利益スポットとされています。また、ここは瀬戸内海を望む絶景の地であり、「恋人たちの聖地」とも言われます。
※写真は町屋通りから望む塔岡の五重塔
※写真は滝小路。坂道の先には大聖院の伽藍が広がります
しゃもじと牡蠣ともみじ饅頭。お土産やグルメが楽しい表参道
宮島桟橋から厳島神社までの表参道は、土産物店や食事処などが軒を並べています。この場所で目につくのが宮島特産の「しゃもじ」。幸運、福運、勝運の縁起物としても人気です。そして広島と言えばお馴染みの「もみじ饅頭」は10店以上のお店で個性的な味わいが楽しめます。また、「宮島牡蠣」も人気の逸品。香り、味、歯ごたえともに極上とされ、土手鍋や焼牡蠣、フライなどが楽しめます。
今回ご紹介した歴史スポット
名称:厳島神社(いつくしまじんじゃ)
住所:広島県廿日市市宮島町1-1
アクセス:JR山陽本線「宮島口駅」又は、広島電鉄宮島線「広電宮島口駅」宮島口桟橋よりフェリーで「宮島桟橋」へ。徒歩約15分
参考情報:宮島観光協会の公式サイト
あらき 獏(ばく)
情報誌の編集者を経て、現在は文化、歴史系フリーライター。歴史を側面から探ることで、歴史の謎解きを楽しんでいます。
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