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北条氏政・氏照公の墓所、関東で天下と戦った北条家当主のその後を知る旅

記事公開日:2015/10/06

関東の雄としてのプライドを胸に、戦国最強の城で豊臣秀吉を迎え撃った北条氏政・氏照兄弟。しかし圧倒的な軍事力の差を前に、命と引き換えに開城を決断し、家名も自らの命も最期を迎える事になりました。今回は真っ向から戦いを挑んで散っていった北条氏政・氏照公の墓所を知る歴史旅をご紹介していきます。

小田原駅

 

JR東海道線の「小田原駅」。ここは電車で箱根方面へアクセスする際の起点となる駅であり、東海道新幹線の停車駅でもあります。江戸時代には東海道の宿場町として栄え、江戸から数えると9番目の宿場となっていました。現在の駅はとても立派なビルになっていて、目の前には小田原の繁華街が広がっています。

 

小田原駅前の干物店の光景

 

小田原と言えば、目の前に広がる相模湾で穫れる「魚」が有名で、その魚を使用した干物やかまぼこなどの練り物、そして木製品の産地でもあります。そして小田原駅の東口から南西へ10分ほど歩くと天下の名城、小田原城へと向かう事ができます。しかし今回は南西の小田原城方面ではなく、東にある「おしゃれ横丁」という名前の商店街を目指します。

 

路地裏のおしゃれ横丁へ

 

小田原駅の東口を出てからわずか5分程度。こういった細い路地をすり抜けていくと、小田原の「おしゃれ横丁」という場所に到着します。路地裏の狭い敷地の中に様々なお店が軒を連ね、どこか懐かしい昭和の雰囲気が漂う一角。

 

おしゃれ横丁、十字路のある交差点

 

路地裏をすり抜けて進むと、おしゃれ横丁の中心、十字路のある交差点へと出てきます。ここは基本的には自動車が通らない場所で、地元の方々が駅へ向かう近道として通っていたり、買い物へ向かうお母さんたちの姿などが多いように思います。

 

ひっそりと佇む北条氏政・氏照公の墓所

 

そして今回、訪れたかった場所はこちら。おしゃれ横丁の十字路からすぐの場所にある「北条氏政・氏照公の墓所」です。商店が立ち並ぶ建物と建物の間にひっそりと、このような形で佇んでいました。実際にここを訪れてみると、とても小さな敷地の一角でした。

 

北条氏政・氏照公の墓所に関する説明書き

 

戦国時代、北条早雲から始まり、氏綱、氏康、氏政、氏直と5代にわたって関東で名を馳せた北条家。氏康の時代には武田、今川に引けを取らない力を持ち、武田信玄も上杉謙信も落とす事ができなかった小田原城。そして跡を継いだ氏政の時代には北条家の領土を歴代最大にまで広げ、天下に北条ありという姿を強く印象付けたのではないかと思います。

 

そして北条氏政の弟であった北条氏照は、現在の東京八王子方面という当時の重要な地域を支配し、武田軍などと対峙する前線の城主を務めます。しかし、関東の外では天下の趨勢が豊臣秀吉に決し始め、北条氏政・氏照はその形勢を見誤ったのか、どうしても屈したくなかったのか、天下の名城たる小田原城への籠城を選択し、15万とも20万とも言われた豊臣秀吉の軍勢にド肝を抜かれる事になります。

 

北条氏政・氏照公のお墓

 

こちらが北条氏政・氏照公のお墓。右側の少し大きな石塔で眠るのは北条氏政の夫人、そして中央に立つ木板(卒塔婆)のすぐ下にある小さな2つの石塔の右側が北条氏政公、左側が北条氏照公のお墓だそうです。そして2つの小さな石塔のすぐ手前側に埋まる、大きくて平らな石は「生害石」と言うようで、言い伝えでは降伏して小田原城を開城する際、この石の上で北条氏政、氏照が自刃したとされるそうです。

 

自刃した後の遺体は、氏寺であった「伝心庵」という寺に埋葬されたものの、その後は放置状態が続き、江戸時代に入ってようやく、あの春日局の息子で小田原藩主となった稲葉正勝の家、稲葉氏によって整備され弔われたようです。その後も厳しい時代があったようですが、現在はこのように地元の有志たちの手によって復元され、綺麗な花も手向けられているようでした。

 

墓所の前に結ばれている幸せの鈴

 

お墓の前にはこんな看板がありました。「幸せの鈴」。領民たちを思って、自らの命をかけて小田原城の開城を決意した北条氏政・氏照公。願い事をかけて鈴を持ち帰り、もしかけた願いが叶ったなら、再びここを訪れて幸せの鈴を結ぶ。そしてその幸せの鈴がたくさんこの場所に集まることで、北条氏政・氏照公の供養になることでしょう。

 

いつ、誰が始めたものかはわかりませんが、こんな想いを込めた供養の仕方もあったとは。小田原の戦いから400年以上を経た現在も、小田原の街のあちこちで、北条家の家紋である「三つ盛鱗」ののぼりが立っています。北条家は今もこの地で慕われる領主なんだ。そんな風に感じた歴史旅でした。

 

名称:北条氏政・氏照の墓所
住所:神奈川県小田原市栄町2-7-8
アクセス:JR東海道線「小田原駅」東口から徒歩6分程度

 

plastictレキタビ編集部

歴史スポット巡りや観光、老舗の歴史飯を味わう旅って案外楽しい!と言って頂けるような情報を発信したいと思います。

 

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