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日本最古の王朝小説「源氏物語」と紫式部ゆかりの地を巡る京都歴史旅

記事公開日:2015/10/06

日本最古にして最高の長編小説として名高い「源氏物語」。絶世の美男子・光源氏を主人公にその恋愛や人間模様を描いたこの作品は、現在でも映画や舞台、マンガなどの題材となり、さらにはさまざまな言語に翻訳されて世界中で読み継がれています。一方で作者が紫式部一人ではないという説や、題名のみで本文が存在しない巻があるなど、謎に包まれた部分が多いという特徴もあります。そんな魅惑の源氏物語の世界を堪能できる、京都ゆかりの地を訪ねてみましょう。

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【1】渉成園

 

渉成園
渉成園 / Richard, enjoy my life!

 

渉成園
渉成園 / Richard, enjoy my life!

 

渉成園
渉成園 / Richard, enjoy my life!

 

江戸時代、東本願寺の別邸として作られたのが渉成園です。文人・石川丈山が作庭した池泉回遊式庭園が見事で、今なお京都市民から「お東さん」と呼ばれ親しまれています。渉成園が建てられた場所には、もともと光源氏のモデルとされている嵯峨天皇の息子、源融(みなもとのとおる)の邸宅「六条河原院」があったと言われています。それを裏付けるように、庭園には渉成園を作る際に掘り出されたと伝えられる源融の供養塔「九重の石塔」が建っています。

 

また、室町時代に書かれた源氏物語の注釈書「河海抄」には、光源氏が妻や子供たちを住まわせた大豪邸「六条院」のモデルとなったのも、「六条河原院」と記されています。約5000坪を誇る池「印月池」をぐるりと囲むように、四季折々の草花が咲き誇る庭園を散策すれば、まるで平安貴族になったような優雅な気分に浸れるでしょう。

 

住所:京都府京都市下京区下珠数屋町通間之町東入東玉水町
アクセス:京阪電車「七条駅」から徒歩約10分/JR「京都駅」から徒歩約15分

 

【2】廬山寺

 

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IMGP4258 / Kyoto-Picture

 

廬山寺 本堂
廬山寺 本堂 / casek

 

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IMGP4263 / Kyoto-Picture

 

紫式部の邸宅跡と伝えられているのが「廬山寺」です。この地で結婚生活を送り、娘・賢子(かたこ)を育てながら、源氏物語をはじめ「紫式部日記」や「紫式部集」を執筆したと言われています。境内には、紫式部を代表する歌「めぐりあひて見しやそれともわかぬ間に 雲がくれにし夜半の月影」の歌碑が建っています。

 

白川砂と苔を配した「源氏庭」は桔梗の名所としても知られ、6月下旬から9月下旬にかけて、紫式部の名にちなんだ青紫色の花が見ごろを迎えます。また、毎年2月には「節分祭」が行われ、踊りながら現れる3匹の鬼を追い払うという「鬼法楽」で京都の平安を祈ります。

 

住所:京都府京都市上京区寺町通広小路上ル北之辺町397
アクセス:京阪電車「神宮丸太駅」から徒歩約14分/京阪電車「出町柳駅」から徒歩約13分

 

【3】野宮神社

 

野宮神社
野宮神社 / yuchinmchu

 

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IMGP1179 / Kyoto-Picture

 

野宮神社 (Nonomiya Shrine)
野宮神社 (Nonomiya Shrine) / y.ganden

 

嵯峨野にある野宮神社は、皇女が伊勢神宮へ仕える際に身を清めた場所とされ、現在は恋愛や子宝、安産祈願で名高い神社となっています。源氏物語の第10帖「賢木(さかき)」は、ここ野宮が舞台となっています。源氏の愛人・六条御息所が源氏との結婚を諦め、娘・斎宮とともに伊勢へ下向する直前に、秋深まる美しい野宮の地で源氏との別れを惜しみました。

 

本殿の前にそびえる「黒木鳥居」はクヌギの原木を用いた珍しい造りで、日本最古の鳥居形式とも言われています。また、嵐山を表現したとされる「野宮じゅうたん苔」をはじめ、モミジや椿など風光明媚な景観も見どころと言えます。

 

住所:京都府京都市 右京区嵯峨野宮町1
アクセス:嵐電「嵐山駅」から徒歩約8分/阪急嵐山線「嵐山駅」から徒歩約20分

 

【4】清凉寺

 

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IMGP1135 / Kyoto-Picture

 

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IMGP1136 / Kyoto-Picture

 

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IMGP1137 / Kyoto-Picture

 

「清凉寺」は源融の別荘・栖霞観(せいかかん)と、その後身である棲霞寺の跡地に建てられた寺院で、源融の墓所にもなっています。物語の中で源氏が建立した「嵯峨の御堂」は、この棲霞寺がモデルと言われており、「松風」の巻では大覚寺に匹敵する華麗で壮大な造りであったと記されています。「嵯峨の御堂」は「若菜」や「宿木」の巻などでも登場し、御堂の荘厳さや嵯峨野の自然の美しさが描写されています。

 

清凉寺は別名「嵯峨釈迦堂」とも呼ばれ、若き日の釈迦の姿を彫ったと伝えられる国宝「釈迦如来像」のほか、多くの寺宝を所蔵しています。また、毎年春には念仏を無言劇にした「嵯峨大念仏狂言」が開催されています。

 

住所:京都府京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町46
アクセス:JR山陰本線「嵯峨嵐山駅」から徒歩約14分

 

【5】宇治川

 

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DSC02271 / takumi.412

 

Uji
Uji / nwhitely

 

京都市内から電車で20分ほど、京都の南部に位置する宇治市は、源氏物語の後半部分「宇治十帖」の舞台となった場所です。「宇治十帖」では源氏亡き後の主人公・薫とそのライバル・匂宮を中心に、さまざまな恋愛や人間模様が描かれます。その中で宇治川は重要なキーポイントとして度々登場します。

 

2人が美女・浮舟を巡って壮絶な三角関係に発展する「浮舟」の巻では、匂宮が宇治川対岸の隠れ家に浮舟を連れ去ります。また、2人の間で板挟みになった浮舟が、死を決意して入水自殺を図るのも宇治川です。非常に流れが速く、水量も多く、轟音が鳴り響く宇治川は、宇治橋から見下ろすと足がすくむほどの怖さを覚えます。京から遠い鬱蒼とした田舎町だった平安時代の宇治で、宇治川は今より一層恐ろしく思えたことでしょう。

 

現在では宇治川のほとりに紫式部像、匂宮と浮舟のモニュメントのほか、巻ごとの石碑をたどることができます。また、宇治川近くにある国内唯一の源氏物語の博物館「源氏物語ミュージアム」では、物語に関する貴重な資料に触れることができます。

 

住所:京都府宇治市宇治蓮華周辺
アクセス:JR奈良線・京阪電車「宇治駅」から徒歩約8分

 

ふじわら りえ

子育て主婦兼ライター。思わず誰かに話したくなる、そんな歴史旅の記事をお届けできるようにしたいと思っています。

 

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