伊賀上野城、築城の名手・藤堂高虎が手がけた忍者の街の名城を巡る歴史旅
築城の名手として知られる藤堂高虎が縄張りを行い、日本100名城の1つにもなっている「伊賀上野城」。今回は伊賀流忍者の街のランドマークにもなっている、歴史スポットを巡る旅をご紹介していきます。
伊賀上野。鈴鹿山脈や紀伊山脈など、四方を山に囲まれた奥深い山里であり、現在は近隣の市町村と合併し、人口約10万人規模の伊賀市という市名になっている街。山々を越えて辿り着く上野盆地には城下町が開けていて、その中心には日本100名城の1つである「伊賀上野城」がシンボルとしての勇姿を見せる。古くは「伊賀の組紐」という名産品で知られ、近年は「伊賀牛」というブランド牛でも知られる街です。
山々を越え、のどかな風景をいくつも見ながら伊賀上野へ向かいます。戦国の舞台裏で活躍した伊賀流忍者の里であり、築城の名手であった藤堂高虎ゆかりの場所へ。
伊賀上野の街の中心にあるのが伊賀鉄道「上野市駅」。忍者の街というだけあって、電車のラッピングも可愛らしい忍者スタイル。伊賀上野城はここから歩いてすぐ。とても楽しみですね。
伊賀上野城へと続くアプローチへ。現在は城を中心に一帯が公園となっていて、近隣には市役所や高校などもあります。この場所が最初に歴史に登場するのは平安時代のようで、かつては平清盛が建立した「平楽寺」という寺があった場所とも伝えられています。そして戦国時代には織田信長と対立した伊賀衆が、この場所にあった平楽寺に集まって軍議を開き、織田軍に決戦を挑んだとも言われます。
こちらが上野公園の案内図。天正伊賀ノ乱で織田軍に平定されたこの場所は、織田信雄の家臣であった滝川雄利などの支配を経て、豊臣秀吉の時代には筒井定次の領地となります。そして筒井定次が現在の伊賀上野城の原型となる城を築城することになっていきます。
上野公園の中にあるのが「伊賀流忍者博物館」。訪れる子供たちに大人気の施設で、スタッフの皆さんも伊賀流忍者のスタイル。ここには忍者屋敷があったり、手裏剣打ちの体験ができたり、家族で訪れるときっと楽しい場所ですよ。
「伊賀流忍者博物館」のすぐ隣には「立ち食い忍者うどん」という看板も。ここは一息つける茶屋のような感じにもなっていて、子供たちが忍者修行を楽しむ一方、小休止を求めるお父さんたちの溜まり場(?)のような場所になっていました(苦笑)。
公園内の城へ向かう途中には、お社や茅葺き屋根の門なども。秋の紅葉シーズンになると、また違った景色が広がっていそう。時折足を止めながらも、ゆるりと散歩する事ができる場所です。
いよいよ、伊賀上野城へ入ります
石階段を登っていよいよ伊賀上野城へ。ここはいわゆる平山城で、標高も185mほどの小さな山。関ヶ原の戦いを経た1608年に、徳川家康の意向を受けた藤堂高虎が入城し、本格的な城の整備に取り組んでいきます。当時は大坂城の豊臣家に睨みをきかせる戦略的拠点という位置づけだったようで、藤堂高虎は筒井氏時代の3倍もの規模に城郭を拡張していきます。
そして現れた「伊賀上野城」。築城の名手・藤堂高虎が造った城郭の中心です。下から見上げてみるとなかなか立派な天守閣!すごいなぁ~と思います。まさに伊賀上野のランドマークですね。ちなみに歴史上の経緯を見ていくと、藤堂高虎時代の天守閣は1612年、建設途中に大暴風に襲われて倒壊してしまったそうです。その後は大坂夏の陣で豊臣家が滅亡し、この城の戦略的重要性も薄れてしまい、天守閣が再建される事はなかったそうです。
そんな歴史上の経緯があるにも関わらず、現在立派な天守閣を目にする事ができるのは、地元出身のある政治家の方のおかげのようです。この城の天守閣は昭和10年に再建されたものですが、この再建に尽力した人物が川崎克さんという政治家の方。なんと自らの私財を投じてこの天守閣を再建したというからすごいですね。そして川崎克さんの孫にあたるのが、小泉内閣時代に厚生労働大臣を務めた政治家、川崎二郎さんだそうです。
城に入って出迎えてくれたのが「藤堂高虎公の像」と、伊賀上野城のゆるキャラ「た伊賀ーくん」。ちなみにた伊賀ーくんは藤堂高虎の「虎」→「タイガー」にちなんで生まれたゆるキャラさんなのだそうですよ。写真では頭の上の部分が切れてしまいましたが、た伊賀ーくんは頭の上に伊賀上野城を載せている?かぶっている?のだとか(なかなか可愛いです!)。
城内ではゆかりのある武具や甲冑、伊賀焼、古文書なども展示されています。それにしても目の前でみる甲冑は、すごい威圧感。
城内には「ちびっこ忍者」たちが。実は城のある上野公園周辺では、伊賀流忍者の変身体験もできるようになっていて、カラフルなコスチュームに身を包んだ可愛らしい「ちびっこ忍者」たちが、城内を散策?侵入?する姿も。
城内の様々な展示品を目にした後は、急な階段を登って最上階へ。再建された模擬天守、すごい立派な純和風の造りになっています。藤堂高虎時代の天守閣を忠実に再現したというものではなさそうですが、これだけの規模のものを私財で建てるとはすごいですね。
天守閣から伊賀の山々を望む。当初思っていた以上に街を一望する事ができました。かつての藤堂高虎も、こうやって伊賀の景色を目にしたのかもしれません。
最後に伊賀上野城の名所の1つである「高石垣」をご紹介。藤堂高虎時代に造られ、大坂城の高石垣と並び、日本で一、ニを争う規模の高石垣なのだそうです。高さは約30mもあり、下を見ると足がすくむほど。転落防止の柵なども設置されていないので、ある意味リアル感が味わえます。滅多に立ち寄る機会がない伊賀上野の街ですが、とても誇らしく素晴らしいランドマークを持つ街でした!
名称:伊賀上野城
住所:三重県伊賀市上野丸之内106
開館時間:9:00~17:00(入館は16:45まで)
アクセス:伊賀鉄道伊賀線「上野市駅」から徒歩約5分
駐車場:近隣に複数のパーキングあり(有料パーキングが中心)
レキタビ編集部
歴史スポット巡りや観光、老舗の歴史飯を味わう旅って案外楽しい!と言って頂けるような情報を発信したいと思います。
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