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恵林寺の大本堂と大庫裡へ!武田信玄と家臣団が眠り、夢窓疎石作の名庭の素晴らしさを知る旅

記事公開日:2015/11/10

武田信玄と70名もの家臣団が眠る甲斐の古刹「恵林寺」。今回は恵林寺の大本堂と大庫裡を巡り、武田信玄公の墓所、そして国指定の名勝である夢窓疎石作の庭園を知る旅をご紹介していきます。

恵林寺の大本堂と大庫裡へ!武田信玄と家臣団が眠り、夢窓疎石作の名庭の素晴らしさを知る旅

大本堂と大庫裡を巡り武田家の墓所へ

 

恵林寺の大本堂と大庫裡へ向かう

 

武田家ゆかりの菩提寺であり、武田信玄の時代に大いに寺勢を高めた恵林寺。そして武田勝頼の代になって、織田信長の軍勢に取り囲まれ、焼き討ちの憂き目にあった寺でもあります。この寺には今も武田信玄をはじめとした武田家家臣団の墓所があり、今も大切に守られています。

 

恵林寺の大庫裡

※写真は恵林寺の大庫裡

 

現代にも通じる、武田信玄の名言に触れる

 

武田信玄公訓言の石碑

※写真は武田信玄公訓言の石碑

 

開山堂などの境内を巡った後、今回はいよいよ武田信玄公の墓所へ。入り口となっている大庫裡へと向かいます。大庫裡の入り口には「武田信玄公訓言」と書かれた石碑が立てられており、こんな内容が書かれていました。

 

「およそ軍勝五分を以って上と為し、七分を中となし、十分を以って下と為す。その故は五分は励みを生じ、七分は怠りを生じ、十分は驕りをするが故。たとえ戦に十分の勝を得るとも、驕りを生ずれば次には必ず敗るるものなり。すべて戦に限らず世の中のことこの心がけ肝要なり。」

 

すべからく戦は五分程度の勝ちが良い。全てに勝ってしまうと驕りが生じて次には必ず負けてしまう。戦に限らず、世の中ではこの心がけが重要。甲斐の国が誇る名将の言葉は、現代であっても納得せざるを得ない、素晴らしいものですね。

 

一華開五葉の屏風

 

大庫裡の入り口をくぐった右側には大きな煮炊き用の釜がありました。そして釜の奥にある「一華開五葉」と書かれた屏風がなんとも印象的です。

 

「一華五葉」。禅宗の開祖と言われる達磨大師が弟子に伝えた言葉だそうで、「結果自然成」という言葉の対句にあたるものだそう。「純粋無垢な心を持って取り組めば、やがて自然と結果は得られるもの」といった意味合いがあるそうです。

 

大本堂と素晴らしき石庭へ

 

風林火山の屏風

 

入り口で拝観料をお支払いし、ここから恵林寺の大本堂、大庫裡の中を巡ります。そして見てください、この「風林火山」の屏風。威風堂々とした書体で、まさに武田信玄ゆかりの寺らしい書です。訪れた観光客の皆さんも思わずここで記念撮影していました。

 

大本堂①

 

大本堂②

 

大本堂の石庭

 

順路に沿って歩いていくと「大本堂」へ。目の前の景色が一気に広がり、手入れされた美しい石庭が姿を現します。京都の有名寺院に引けをとらないほどの立派さであり、空の青さ、木々の緑がより一層映えて見えてきます。

 

大本堂からうぐいす廊下へ

 

武田信玄公、そして名高い家臣たちが眠る場所へ

 

うぐいす廊下

 

大本堂を抜けた先に広がるのは「信玄公の墓所」へと続く「うぐいす廊下」。まさにうぐいすの鳴き声のように、歩く度に「キュッ、キュッ」と優しく鳴り響く床板。不審者の侵入を防ぐために工夫した建築技法だと言いますが、日本の建築の職人技術って、本当に素晴らしいもの。思わず感心させられます。

 

武田信玄公の墓所

 

こちらが戦国時代の名将であり、最強と言われた武田軍団を率いた信玄公の墓所です。目の前まで進む事はできないようになっているため、この距離からそっと手を合わせます。墓所は五輪塔と宝篋印塔の二基から成っているようで、その裏側には武田家家臣団の墓所が広がっています。

 

武田家家臣団の墓所

 

武田信玄公の墓所の裏側に広がる、武田家家臣の墓所。ここには70人もの家臣の墓があるそうで、どの石塔もかなり古く、歴史を感じさせます。死してなお武田信玄公とともにある、忠臣たちの墓です。

 

家臣団、墓所の見取り図

 

こちらは武田家家臣団の墓所の見取り図。山県昌景、馬場信房、高坂昌信、内藤昌豊など、武田家で名を馳せた、歴戦の強者たちの名前が並んでいます。

 

江戸時代の側用人、柳沢吉保の墓所も

 

柳沢吉保公の墓所

 

ちなみに恵林寺には江戸幕府の5代将軍、徳川綱吉公のもとで権勢を振るった側用人、柳沢吉保公の墓所もありました。柳沢吉保は甲斐源氏武田氏の一門である甲斐一条氏の末裔を名乗り、恵林寺の修復に務めた人物だと言われます。

 

日本各地に素晴らしき名庭を作り上げた僧、夢窓疎石作の庭へ

 

夢窓疎石作の名庭①

 

夢窓疎石作の名庭②

 

夢窓疎石作の名庭③

 

夢窓疎石作の名庭④

 

そしてここは1330年に恵林寺を開き、作庭家としても名高い「夢窓疎石」が作ったと言われる、池泉回遊式の庭園です。国指定の名勝であり、池の周囲には園路が張り巡らされ、園路ごとに趣の異なる景色が広がっています。京都の天龍寺や西方寺、等持院などの名庭を手がけた夢窓疎石ですが、この恵林寺の庭も目を見張るほどの規模、美しさです。どことなく等持院の庭と似た造りに見える部分もありました。

 

大庫裡の広間

 

大庫裡の広間。奥に見えるのは、最初にご紹介した「風林火山」の屏風です。大本堂、うぐいす廊下、武田家の墓所、そして夢窓疎石作の名庭をぐるりと巡り、ようやく入り口へと戻ってきました。

 

かつての恵林寺の鬼瓦。その巨大さに驚かされる

 

恵林寺に残る瓦①

 

恵林寺に残る瓦②

 

最後にご紹介するのは恵林寺の中にあった「瓦」の数々。特に「庫裡の鬼瓦」の大きさはもの凄いものであり、高さだけでも2.5mほどはありそうです。恵林寺は織田信長によって焼き討ちに遭い、その後は徳川家の支援で再興されたと言いますが、この巨大な鬼瓦は焼き討ち以前の恵林寺の鬼瓦だそうです。今現在の恵林寺も想像以上に素晴らしいスポットでしたが、武田信玄が生きた時代には、さらに壮大な規模を誇った寺院であったのかもしれません。

 

今回訪れた歴史スポット

 

名称:恵林寺(大本堂と大庫裡)
住所:山梨県甲州市塩山小屋敷2280
拝見時間:8:30~16:30(年中無休)
駐車場:無料駐車場あり

 

恵林寺の境内の美しさを知る旅はこちら 恵林寺、境内の魅力編

plastictニホンタビ編集部

歴史スポット巡りや観光、老舗の歴史飯を味わう旅って案外楽しい!と言って頂けるような情報を発信したいと思います。

 

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