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天下の堅城・彦根城、井伊家の居城で国宝天守に触れ、時代劇でもお馴染みの玄宮園を巡る旅

記事公開日:2016/12/21

琵琶湖畔の金亀山上に築かれた「彦根城」。ここは徳川家譜代の筆頭、井伊氏が居城とした城です。彦根は戦略拠点とされた地で、江戸幕府にとっては西国への備えという意味も持つ堅城でした。今回は国宝天守5城の1つにも数えられる優美な国宝天守に触れ、時代劇・暴れん坊将軍でもお馴染みの場所だった玄宮園などを巡る旅へとご案内します。



玄宮園から望む彦根城の天守

※写真は時代劇・暴れん坊将軍のエンディングシーン、将軍吉宗と爺との楽しい掛け合いの場としてもお馴染みだった風景。玄宮園から望む彦根城の天守です

 

国宝天守5城の1つに数えられる彦根城は、櫓や庭園などの見所が多彩

 

滋賀県彦根市に位置する「彦根城」は、徳川家四天王の1人とされた井伊直政の子、井伊直継による築城とされます。この城は幕府の西国の備えとして江戸時代初期に築城され、それ以降は井伊家17代の居城となります。彦根の地を治めた井伊家は譜代筆頭として幕府を支え続け、幕末には大老の井伊直弼などを輩出。1633年(寛永10年)には徳川家譜代の中でも最高となる35万石を領しました。

 

彦根城は別名「金亀(こんき)城」とも呼ばれ、国宝天守5城の1つにも数えられます。現存する天守と附櫓及び多聞櫓は国宝、そして城跡は国の特別史跡とされ、姫路城とともに城郭遺構をよく残している城と言われます。また、佐和口多聞櫓、天秤櫓、太鼓門、西の丸三重櫓などは国の重要文化財、その他にも大名庭園の「玄宮園」や藩主の下屋敷である「楽々園」など、見所は多彩となっています。

 

徳川家随一の猛将、井伊直政の想いを継いで築城された彦根城

 

彦根城の国宝天守

※写真は彦根城の国宝天守

 

徳川家臣団の中でも、勇猛果敢な戦さぶりで「井伊の赤鬼」と恐れられた井伊直政。関ヶ原の戦いにおいては東軍の軍監として徳川軍の先鋒も務めています。また、その後は関ヶ原の戦いの軍功によって18万石をもって近江国に封じられ、石田三成の居城であった佐和山城へと入城します。

 

それからの直政は、佐和山城が古い縄張りの山城であることと、石田三成の居城であったことを嫌い、新たな城を築くことを計画しました。しかしそんなタイミングで直政は、慶長7年(1602年)に関ヶ原で受けた傷がもととなって急死してしまいます。この時の家老・木俣守勝は、井伊家の後を継いだ直継がまだ幼少であったため、徳川家康と相談の上で直政の遺志を継ぎ、慶長8年(1603年)に琵琶湖岸、金亀山(彦根山)に新たな城の築城を始めました。

 

琵琶湖と山塊に挟まれた彦根の地は、中山道と北国街道が合流する要地であり、さらに東国と西国の境界でもありました。古くは壬申の乱、そしてこの当時の関ヶ原の戦いなど、天下の趨勢を決める戦いが多数この付近で行われ、彦根は戦略上の拠点とされていました。

 

彦根城の築城は7か国、12大名が参加する天下普請とされ、慶長11年(1606年)に天守が完成し、井伊家の後を継いだ直継が入城しました。そして元和2年(1616年)には御殿が建造され、元和8年(1622年)に城郭のすべてを完成させました。

 

3層複合式望楼型の天守

※写真にある彦根城の天守は3層複合式望楼型。各層に千鳥破風、切妻破風、唐破風、入母屋破風が配置された変化に富む姿であり、大津城の天守を移築改造したとも言われています

 

国宝天守に登城した後は北麓の玄宮園へ。天下の堅城・彦根城の歩き方

 

彦根駅から駅前大通りを10分ほど歩くと、正面に護国神社が見えてきます。それを左に回りこみ、「いろは松」を左に見て中堀を渡ると佐和口。この佐和口の左手にある「多聞櫓」は、明和8年(1771年)に建築された国の重要文化財です。右手にある櫓は開国記念館であり、馬屋を経て内堀の表口橋を渡ると右手には「表御殿」、ここは彦根城の博物館になっています。

 

そして表門から表門山道を上っていくと「廊下橋」が頭上に現れます。この廊下橋を中央として左右対称になっている櫓門は、「天秤(てんびん)櫓」と呼ばれる国の重要文化財。そして本丸への入口である「太鼓門櫓」を抜けていくと、正面に彦根城の天守が姿を現します。天守は四種の破風を組み合わせた変化に富む造りで、附櫓と多聞櫓が連なり、その現存3棟が国宝に指定されています。

 

廊下橋と天秤櫓

※写真は廊下橋と天秤櫓。この天秤櫓は長浜城から移築したと言われます。彦根城には大津城から移築したとされる天守を始め、佐和山城からの佐和口多門櫓と太鼓櫓門、小谷城からの西ノ丸三重櫓など、多くの移築伝承が伝わっています

 

また、金亀山北麓にある「玄宮園 (げんきゅうえん)」は、琵琶湖や近江八景を模したという庭園。ここは4代藩主の井伊直興が延宝5年(1677年)に造営したものです。築山には客殿の「鳳翔台 (ほうしょうだい)」が建ち、ここでは抹茶が楽しめるようになっています。そして玄宮園の横には藩主の下屋敷である「楽々園」があり、大書院、地震の間、楽々の間などの数寄屋建築は、玄宮園とともに国の名勝に指定されています。

 

彦根城の中堀

※写真は彦根城の中堀。ここでは堀を屋形船で巡る「彦根城お堀めぐり」が人気を集めています。玄宮園前の船着場から山崎御門前まで、内堀をゆっくりと遊覧する事ができます

 

今回ご紹介した滋賀県彦根市の旅行スポット

 

名称:彦根城
住所:滋賀県彦根市金亀町1-1
開門時間:8:30~17:00
入場料金:大人、大高生 600円、小中学生 200円(彦根城、玄宮園共通)彦根城博物館は別途
アクセス:JR東海道本線、琵琶湖線「彦根駅」徒歩約15分
参考リンク:彦根城観光ガイド(彦根観光協会)

 

あらき 獏(ばく)あらき 獏(ばく)

情報誌の編集者を経て、現在は文化、歴史系フリーライター。歴史を側面から探ることで、歴史の謎解きを楽しんでいます。

 

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