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南蛮造りの天守を誇る小倉城、その波乱の歴史と武家の式法・小笠原流礼法の文化を知る旅

記事公開日:2016/03/02

福岡県北九州市にある「小倉城(勝山城)」は、紫川を堀として築かれた梯郭式の平城です。ここには全国で唯一とされる「南蛮造り」の天守が残され、細川忠興によって江戸時代の初期に造られたものとなっています。今回は魅力溢れる小倉城の歩き方と、城内の小倉城庭園(小笠原会館)を巡る福岡旅へとご案内いたします。

南蛮造りの天守を誇る小倉城


陸海の交通の要衝であった小倉。大勢力の狭間で、波乱の歴史を秘めた小倉城

 

関門海峡や響灘を擁する小倉の街は九州の玄関口であり、陸海交通の要衝とされた地。かつてはこの地を抑えるべく、数多くの勢力が攻防を繰り返しました。そしてこの小倉城の築城は鎌倉時代にまで遡るとされ、戦国時代には中国地方の大内氏や毛利氏、豊後の大友氏との覇権争いの最前線にもなりました。

 

そして豊臣秀吉による九州征伐の後には、秀吉の家臣である、森(毛利)勝信が小倉城へ入城し、現在の縄張りで石垣造りの城郭を築きました。その後は関ヶ原の戦いの論功行賞で、細川忠興が豊前40万石を領し、小倉城を近世城郭として改築し、居城とする事になります。

 

1632年(寛永9年)、細川家は改易された肥後の加藤家の後を受けて熊本へと転封し、譜代大名の小笠原忠真が15万石で豊前へと入国します。この小笠原家は将軍、徳川家光から九州の諸大名の監視という特命を受けて小倉城に入り、江戸時代の小倉城下は九州諸国に通じる各街道の起点として繁栄し、幕末を迎えています。

 

1866年(慶応2年)には権勢の回復を目指す江戸幕府が、長州藩を処するために行った「第二次長州征討」において、小倉城は高杉晋作率いる奇兵隊をはじめとした長州軍の猛攻を受けます。この時に小倉藩の兵は城に火を放って香春に撤退、小倉城は長州軍に占領される事になりました。この時の敗戦が江戸幕府の滅亡をほぼ決定づけたとも言われています。

 

南蛮造り(唐造り)の天守

※写真は4層5階、最上階が張り出た南蛮造り(唐造り)を誇る天守

 

城の内部には、小倉城と城下町の歴史、小倉の博物館が広がる

 

江戸時代初期に細川忠興によって造られた天守は、天保8年(1837年)の失火によって焼失し、現在の天守は昭和34年に再建されたもの。この内部は小倉城と城下町、小倉の博物館になっています。

 

内部の1階は歴史ゾーンとなっていて、小倉の歴史や文化、歴代の藩主に関する資料が展示されています。特に城下町のジオラマは必見です。2階は城内体験ゾーン、大名駕籠や御厠など、城内の暮らしが体感できる空間となっていて、小倉祗園祭のだし(山鉾)も展示されています。また、3階は映像体験ゾーン、大型ワイドスクリーンのシアターで、当時の小倉城と城下町の様子が再現されています。こちらでは巌流島決闘の宮本武蔵と佐々木小次郎のコーナーも人気となっています。そして4階は多目的スペース、5階は展望台となっています。ちなみに内部はいす式のリフトも整備されており、身障者の方やお年寄りの方でも登城できるようになっています。

 

小倉城庭園の御殿

※写真は小倉城庭園の御殿

 

武家の式法、小笠原流礼法の文化に浸る小倉城庭園(小笠原会館)

 

また、城内の下屋敷跡には「小倉城庭園(小笠原会館)」があり、池泉回遊式庭園と書院造りの御殿などを目にする事ができます。この施設は小笠原家家伝の故実、「小笠原流礼法」に因むもので、展示ゾーンでは小笠原礼法の紹介や企画展示が行われ、礼法講座なども開催されています。

 

この小笠原流礼法は武家の式法とされ、礼法、弓術(弓道)、弓馬術(流鏑馬)を教授するものであり、礼法はその内の1つとなっています。立ち姿勢や座った姿勢、お辞儀、襖の開け方といった基本の動作から、人生の通過儀礼の祝い、袴着、元服などの式法までも伝授しています。

 

小笠原氏は甲斐や信濃の出自とされ、全国各地に所領や一族を有する大族でした。宗家は源氏の弓馬術礼法師範となり、その後は武家の有職故実、小笠原流弓馬術礼法として継承され、江戸時代には高家として幕府の弓馬術礼法の師範を明治維新まで務めました。そして小笠原流礼法はその後も脈々と受け継がれ、現在も国内で教室を開催する一方、海外における日本の伝統文化の普及活動なども行なっています。

 

今回ご紹介した福岡・小倉旅のスポット

 

名称:小倉城
住所:福岡県北九州市小倉北区城内2-1
入場料:一般350円、中学生、高校生200円、小学生100円
開館時間:9:00~18:00(冬場は17:00まで)
アクセス:JR小倉駅バスセンターからバス「室町 リバーウォーク」徒歩すぐ
駐車場:周辺に有料駐車場あり
参考リンク:小倉城の公式サイト

 

名称:小倉城庭園(小笠原会館)
住所:福岡県北九州市小倉北区城内1-2
入場料:一般300円、中高生150円、小学生100円
開館時間:9:00~18:00(冬場は17:00まで)
参考リンク:小倉城庭園の公式サイト

 

あらき 獏(ばく)あらき 獏(ばく)

情報誌の編集者を経て、現在は文化、歴史系フリーライター。歴史を側面から探ることで、歴史の謎解きを楽しんでいます。

 

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