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九州の古都・大宰府、遠の朝廷と呼ばれた政庁跡と太宰府天満宮を巡る歴史旅

記事公開日:2015/11/20

福岡県太宰府市は約1,300年もの昔に九州を統治した「大宰府政庁」が置かれた古都。今回は太宰府政庁跡や太宰府天満宮などの名所、史跡が散在するこの観光都市の見所をご紹介していきます。

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太宰府天満宮 / GMT9

 

遠の朝廷・大宰府政庁。今は穏やかなこの里で1,300年の夢を育む

 

大宰府政庁が筑紫(現在の福岡県周辺)に置かれたのは7世紀後半。以降、奈良時代、平安時代を通じて九州の統治、そして日本の外交や防衛の府として、都から派遣された筑紫大宰(つくしのおおみこともちのつかさ)が治めました。この当時の筑紫大宰は、その権限の大きさから「遠の朝廷(とおのみかど)」とも呼ばれたほどだったと言います。

 

この頃、大宰府政庁は「都府楼(とふろう)」と呼ばれ、その規模は平城京、平安京に次ぐものだったと言われます。都府楼から伸びる朱雀大路を中心に、条坊の街区があったとされますが、現在は四王寺山の麓の穏やかな里に、巨大な礎石群や門、回廊の跡、蔵司、学校院などの遺構が散在する形となっています。また、当時の都府楼跡の隣地には、九州を代表する名刹、観世音寺と戒壇院が佇んでいます。ここは天智天皇が開基とされ、国宝の梵鐘と巨大な仏像群で知られています。

 

観世音寺講堂

※写真は観世音寺講堂

 

大宰府政庁周辺には水城や大野城など、多くの軍事遺構が散在

 

飛鳥時代の663年、朝鮮半島における「白村江の戦い」で、日本は唐・新羅の連合軍に敗れてしまいます。そしてその緊張により、天智天皇は大宰府に防衛の施設を整えていきます。翌、664年には大宰府の博多湾側に水を貯えた約1kmの大土塁、水城を築造し、大宰府の後背である四王寺山には朝鮮式の山城である大野城、南には基肄城を築きます。これらの軍事遺構は、その当時の緊張の様子を今に伝えています。

 

大野城の百間石垣

※写真は大野城の百間石垣。大野城は尾根伝いに8km以上に及ぶ土塁が巡り、谷には石垣が築かれています

 

大宰府に配された菅原道真公を祀る太宰府天満宮。今は学問の神様として賑わう

 

平安時代前期の昌泰4年(901年)、右大臣であった菅原道真は藤原氏の陰謀によって大宰府に左遷されてしまいます。そして、延喜3年(903年)に失意の中でその生涯を終える事になります。そんな菅原道真公の墓所に造営されたのが太宰府天満宮でした。菅原道真公は優れた学者、文人であったため、その後の太宰府天満宮は、学問の神様(天神さま)として信仰されるようになっていきます。

 

ちなみに太宰府天満宮は京都の北野天満宮とともに、全国の天満社約12,000社の総本宮とされます。そして学問の神様ということもあり、修学旅行の生徒たちが多く訪れて賑わっています。西鉄電車の太宰府駅から太宰府天満宮へと向かう参道は賑やかで、土産物店や名物の「梅ヶ枝餅」を焼く店が軒を連ねています。

 

太宰府天満宮の参道

※写真は太宰府天満宮の参道

 

梅の名所・太宰府天満宮。満開の梅の下で梅ヶ枝餅を頂くのが、早春の太宰府の風物詩

 

太宰府天満宮の本殿の脇には、ご神木である「飛梅」があります。樹齢1,000年を超えるという白梅であり、太宰府に配された道真公を慕って、都の館から飛んできたという伝説が残り、パワースポットとしても人気を集めます。そしてこの飛梅伝説に因んで、太宰府天満宮の神苑には約6,000本もの梅が植えられ、2月、3月の梅のシーズンには、多くの観光客で賑わいます。本殿裏の梅園には茶店が立ち並び、満開の梅の下で太宰府名物の「梅ヶ枝餅」を頂くのが、早春の風物詩にもなっています。

 

太宰府天満宮の本殿

※写真は本殿。1591年に筑前国守の小早川隆景が建てたもので、桃山時代の豪壮な様式

 

梅ヶ枝餅
※写真は梅ヶ枝餅 / alberth2

 

太宰府天満宮周辺には恋のパワースポットや苔寺、そして国立博物館などが散在

 

太宰府天満宮の後背にそびえる宝満山の麓には、竈門(かまど)神社が鎮座しています。この神社は玉依姫命(たまよりひめ)を祀り、縁結びの社としても人気を集めています。また、この社は春の桜、秋の紅葉の名所でもあり、四季折々の姿、趣が楽しめるスポットです。

 

縁結びの竈門神社

※写真は恋のパワースポット、縁結びの竈門神社

 

光明禅寺

※写真は光明禅寺。太宰府天満宮の傍にある天満宮の結縁寺。苔寺とも呼ばれ、庭園は苔むした枯山水の一滴海庭。秋には紅葉の風情が楽しめます

 

加えて2005年には、太宰府天満宮の敷地内に「九州国立博物館」が建設されました。はるか昔にアジアとの交流の窓口であった九州をテーマにした歴史博物館で、見学の際には太宰府天満宮に参拝するのが1つの習わしにもなってきています。ちなみに太宰府天満宮周辺の散策には、太宰府駅からレンタサイクルを利用するのがお薦めです。

 

kyushu national museum 九州国立博物館
kyushu national museum 九州国立博物館 / jetalone

 

kyushu national museum 九州国立博物館
kyushu national museum 九州国立博物館 / jetalone

 

今回ご紹介した歴史スポット

 

名称:大宰府政庁跡(都府楼跡)
住所:福岡県太宰府市観世音寺4-6
アクセス:西鉄大牟田線「都府楼前」から徒歩約10分
駐車場:無料駐車場あり
参考情報:太宰府観光協会の公式サイト

 

名称:太宰府天満宮
住所:福岡県太宰府市宰府4-7
アクセス:西鉄太宰府線「太宰府駅」から徒歩約5分
駐車場:周辺に駐車場が多数あり(有料)
参考情報:太宰府天満宮の公式サイト

 

あらき 獏(ばく)あらき 獏(ばく)

情報誌の編集者を経て、現在は文化、歴史系フリーライター。歴史を側面から探ることで、歴史の謎解きを楽しんでいます。

 

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