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戦国最強の城・小田原城、名将たちも攻め落とせなかった北条家の名城を歩く旅

記事公開日:2015/11/11

戦国最強、難攻不落、落城知らず。関東を支配した北条家が誇った小田原城は、とてつもなく巨大な惣構を持ち、街全体が城となっていました。今回は武田信玄や上杉謙信が攻めたであろう場所から、小田原城の本丸を目指す歴史旅をご紹介していきます。

戦国最強の城・小田原城、名将たちも攻め落とせなかった北条家の名城を歩く歴史旅

落城知らずの名城・小田原城の惣構は9kmにも及ぶ

 

お城通りの日向屋敷跡

 

お城通りの弁財天跡

 

小田原城は戦国時代、最大にして最強、そして落城知らずであった北条家が誇る巨大な城です。城下町全体は堀や土塁で囲まれ、惣構の総延長は約9kmにも達したという規模の城でした。これは現在の小田原駅をはじめとした小田原の街の主な場所が全て含まれていて、いわば歩く場所すべてが城郭の中という事なので、ものすごい大きさです。

 

小田原駅から小田原城の本丸へと続く「お城通り」を歩くだけでも、複数の石碑が立っていて、江戸時代の初代小田原藩主だった大久保忠隣の妻、日向御前の屋敷があったと言われる場所の跡や、小田原城の弁財天曲輪という場所につながる道だった「弁財天」といった場所なども残されています。

 

恐らく武田信玄と上杉謙信も、小田原城の巨大さを見てびっくり

 

三の丸土塁跡を示す看板

 

ちなみに小田原の街の中には、小田原城の「三の丸土塁跡」という場所があります。城の本丸、二の丸に続くこの場所の近くには幸田門という門があり、小田原を攻めた武田信玄や上杉謙信は、この門から小田原城を攻めようとしたと考えられているそうです。

 

三の丸土塁跡

 

こちらが「三の丸土塁跡」。土塁というだけあってパッと見の印象としては、街の一角に盛り土した場所があるなという感じになっています。今となっては当時の面影はありませんが、かつてはここで武田軍、上杉軍が遠くにある本丸を見て、「あ、ここ攻めるのは無理!」と思ったかもしれません。ちなみにこの場所から本丸に登るまでには、歩いて15分くらいはかかると思います。

 

落城知らずの名城へ。本丸まで攻めてみます(歩いてみます)

 

二の丸を囲む巨大な水堀

 

三の丸土塁跡から本丸の方へと歩くと巨大な堀が現れます。今でこそ城門もなく、立派な橋を渡ればすんなりと二の丸へ行けますが、もし戦国時代であれば、この堀を渡ろうとしている間に思いっきり城内の北条軍から攻撃を受けて、全滅してしまいそうな気が。こういった城を攻め落としに行く最前線の兵士たちの立場って、ほんとツライですね・・・。

 

二の丸御殿があったという広場

 

すんなりと二の丸へ攻めこんでみると、周囲はこんな感じの広場になっていました。このあたりにはかつて二の丸御殿の建物があったそうです。

 

二の丸御殿跡を示す看板

 

この二の丸御殿というのは、江戸時代に藩主が住んでいたり、毎日の政治の仕事を行う場所だったそうです。最も立派だった頃には能舞台まであったそうですが、1703年(元禄16年)に大地震が起きて倒壊、炎上してしまい、その後に再建された二の丸御殿は全盛期の規模には及ばなかったそうです。

 

石碑・明治天皇行幸所

 

ちなみに二の丸広場には「明治天皇行幸所」という石碑もありました。明治時代には二の丸内に天皇の御用邸が建てられたそうで、廃止となるまではここに「小田原御用邸」があったそうです。

 

さくらの名所100選の地

 

現在は城址公園となっている小田原城。二の丸の広場を本丸へと歩いていくと「さくらの名所100選の地」という碑もあります。

 

いよいよ難攻不落の城の本丸へ

 

本丸へと続く石段

 

二の丸から本丸へと続く階段を登る。ようやく本丸の囲みが見えてきた!と思った矢先、またもや大きな堀が行く手を阻みます。

 

本丸東堀跡

 

こちらの堀も昔は水堀だったそうで、最も幅がある場所で20m以上もあったのだとか。攻めこむ側からすると、堀って本当に嫌な存在だったのかもしれませんね。

 

現在は空堀になっている

 

そんな立派な水堀も現在の姿は空堀でした。何かの植物が植えられていて、ちょっとした散歩道もあり、植物園?畑?のような感じになっていました。

 

最も大きく、堅固だったという常磐木門

 

常磐木門①

 

常磐木門②

 

常磐木門③

 

水堀を超えると最後の難題が。ここは小田原城の城門の中で最も大きく、堅固だったという「常磐木門」です。関東の雄、北条一族の時代の門とは異なるようですが、江戸時代初期に建てられたという現在の城門の形は「枡形」。城門を打ち破るまでの間に、周囲の櫓から思いっきりいじめられてしまうという、これまた兵士泣かせの門です。

 

本丸に到着!攻め落とそうと思ったら・・・

 

小田原城の本丸①

 

小田原城の本丸②

 

武田信玄や上杉謙信になり代わって、小田原の城を攻め落とそう!と思ったら、ごめんなさい、お城はこんな感じで囲いが立ち、中には誰も入れない状態になっていました。聞けば2016年4月まで、耐震工事を行なっているそうでして、皆さんに落城知らずの城の天守閣の景色、今回はお伝えできませんでした。でも、来年の4月になったら、ぜひ皆さんも工事が完了した小田原城を見に行って欲しいです!

 

本丸がある広場の風景

 

花々が咲く小田原城址公園

 

現在の小田原城址公園には様々な花が植えられ、一年を通じて季節折々の花が咲きます。

 

 

もし小田原城を目にして戦国気分が盛り上がってきたら、こんな風に武士やお姫様に変身することもできるようになっています。

 

武士に変身できるお店

 

本丸茶屋

 

本丸まで歩き、小腹が減ってしまったという方には本丸茶屋がお薦め。「小田原武将茶漬け丼」「北条うどん」「早雲そば(うどん)」などのメニューも充実です。

 

最後に昔、保存の危機にあった小田原城のこともご紹介

 

1871年撮影の小田原城

 

小田原城を巡る中で見つけた一枚の写真。1871年(明治4年)に撮影されたという小田原城、南曲輪西南二重櫓だそうです。明治時代に入って廃城となった小田原城の荒れ果てた姿。今でこそ小田原のランドマークであり、市民の誇りとして大切に守られていますが、昭和58年くらいまでは、遊園地や野球場まであり、城としての景観はほとんどなかったそうです。

 

現在の小田原城

 

ようやく名城としての姿を取り戻した小田原城です。小田原城をはじめとした日本各地の史跡、文化財は誰かの熱意、誰かの手、誰かの財産によって今日まで守り継がれ、支えられています。今の時代に生きる私たちも、未来の子供たちに向けてこういった大切な歴史の足跡を守り続け、大切に受け継いでいきたいですね。

 

今回訪れた歴史スポット

 

名称:小田原城
住所:神奈川県小田原市城内
アクセス:JR東海道線「小田原駅」から徒歩約12分
駐車場:専用駐車場はないため、近隣の有料コインパーキングを利用

 

plastictレキタビ編集部

歴史スポット巡りや観光、老舗の歴史飯を味わう旅って案外楽しい!と言って頂けるような情報を発信したいと思います。

 

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