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紀伊山上・密教の聖地へ!高野山・金剛峯寺で悠久の謎を目にする歴史旅

記事公開日:2015/10/27

高野山は紀伊の山上に空海が開いた密教の道場。この地は比叡山と並び、日本仏教における一大聖地でもあります。今回は天空の異境とも言われる高野山の立地の不思議、そして謎に包まれた空海の生涯にスポットをあてた歴史旅をご紹介していきます。

紀伊山上・密教の聖地へ!高野山・金剛峯寺で悠久の謎を目にする歴史旅

※写真は高野山のシンボル、檀上伽藍の根本大塔

 

世界遺産となった密教の聖地には117もの寺院が連なる

 

高野山は紀伊山地域の標高800m余の山上に、弘法大師(空海)が開いた密教の聖地。この地は平安時代初期に開かれ、1,200年もの歴史を誇っています。山上には「檀上伽藍」と呼ばれる根本道場を中心に、山上の宗教都市がつくられ、高野山真言宗の総本山である「金剛峯寺」をはじめ117の寺院が甍を連ねています。そして2004年には熊野、吉野と共に「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコの世界文化遺産に登録されています。

 

壇上伽藍の御影堂

※写真は壇上伽藍の御影堂

 

見所は壇上伽藍、金剛峯寺、そしてパワースポットの奥の院

 

檀上伽藍(だんじょうがらん)は弘法大師(空海)が曼荼羅の思想に基づいて造った密教伽藍。高野山の総本堂、金堂や根本大塔、東塔、西塔、御影堂、国宝の不動堂などが立ち並び、荘厳な空気を漂わせているスポットです。そして、金剛峯寺(こんごうぶじ)は高野山真言宗の総本山。狩野探幽の襖絵や日本最大の石庭、蟠龍庭など、歴史と文化が凝縮された名刹でもあります。

 

檀上伽藍の金堂

※写真は檀上伽藍、金堂

 

奥の院の参道の先には聖域、御廟橋も

 

そして弘法大師入定の聖地が「奥の院」。古杉がそびえる約2kmの参道には、約20万基もの墓石が並び、見た事がないほどの荘厳な空気感に包まれている場所。墓碑には織田信長、豊臣秀吉、武田信玄、上杉謙信などなど、歴史上の英雄たちの名も並んでいます。そして参道が尽きる「御廟橋」からは撮影も禁止とされる聖域へ。燈籠堂が拝堂で、奥には弘法大師の御廟。この場所は高野山最大のパワースポットと言われます。

 

奥の院①

※写真は奥の院

 

高野山の人々は、弘法大師のことを親しみを込めて「お大師さま」と呼びます。また、「お大師さまは今も奥の院で瞑想されています。」とも語ると言います。そしてお大師さまの食事が毎日2回、御廟へと運ばれます。お大師さまは今も御廟で生き続け、永遠に祈り続けていると考えられている。奥の院とはそんな場所なのです。

 

奥の院②

※写真は奥の院

 

弘法大師(空海)にまつわる伝説と高野山のパワーの秘密

 

804年、唐に渡った空海はサンスクリット語(梵語)を覚え、真言密教を習得、土木や建築技術をも学んで帰国します。その後、全国を行脚して各地で観音や菩薩像を刻んで霊場を作り、諸悪を封じていきます。また、井戸を掘り、ため池を造っては人々を干害から救っていきます。そんな空海にまつわる伝説は全国に約5,000以上もあると言われ、それは人々の空海への崇敬の現れとされます。

 

奥の院に数多くの戦国武将、大名家の墓所がある理由も、弘法大師の足下に眠り、極楽往生を願うという信仰でした。高野山は日本を代表するパワースポットと言われますが、高野山が持つパワーは、この地が持つ「気」の力よりも、弘法大師自身が持つエネルギーに因る部分が大きいとも言えそうです。

 

高野山の街域を外れた場所

※写真は高野山の街域を外れた場所。そこは濃霧に包まれる標高800m余の尾根筋

 

山上の聖地、高野山の開創伝承にみる立地の不思議

 

高野山へ向かう際は、朝霧の中、山腹を縫う長い七曲りの山道を登りつめて標高1000m近い山上へと至ります。まさにここは天空の異境。しかしなぜ空海は都から遠く離れたこの山上に、真言密教の道場をつくったのでしょうか。それは最澄が京の都に接する比叡山を道場としたのとは対照的な事でした。

 

金剛峯寺縁起によると、空海は猟師に化した高野明神と母神の丹生明神に導かれてこの山へ至ります。そして両神は高野山の地主神として、檀上伽藍の御社に祀られます。丹生明神とは紀伊国一宮、丹生都比売神社の祭神。そしてこの神が丹(水銀)にまつわることで、高野山が金銅仏鍍金に使われる、水銀の採掘冶金の地であったともされます。

 

高野明神と丹生明神を祀る御社

※写真は高野明神と丹生明神を祀る御社

 

高野山には各々に特徴を持つ、52もの「宿坊」がある

 

高野山では寺院の半数が宿坊を兼ね、52もの宿坊が存在しています。各坊には精進料理、部屋、庭園などの点からも、それぞれに特徴があります。また温泉が楽しめる宿坊や重要文化財の庭園を持つ宿坊、護摩祈祷や写経が体験できる宿坊など、宿坊選びは高野山を巡る旅の楽しみの1つでもあります。

 

高野山は御守や御朱印も多彩

 

高野山では「身代わり大師」の御守が有名です。病気や怪我をお大師さまが代わって引き受けてくれるというもの。その他にもカード御守、リングやストラップの御守などもあり、そのバリエーションは多彩です。奥の院ではお大師さまの坐像も人気でした。更に高野山の御朱印は130を越えるといわれ、各所で頂く事ができるようになっています。

 

今回ご紹介した歴史スポット

 

名称:高野山真言宗 総本山金剛峯寺
住所:和歌山県伊都郡高野町高野山
アクセス:南海高野線「極楽橋」からケーブル、南海りんかんバスで約15分程度
駐車場:高野山内各所にあり
参考情報:金剛峯寺の公式サイト

 

あらき 獏(ばく)あらき 獏(ばく)

情報誌の編集者を経て、現在は文化、歴史系フリーライター。歴史を側面から探ることで、歴史の謎解きを楽しんでいます。

 

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