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究極の庭園を作り上げた僧、夢窓疎石の名庭に触れる旅6選

記事公開日:2015/10/15

 世界遺産の寺院などで名高い庭園を数多く手掛け、作庭家としての顔も持つ「夢窓疎石」。彼が得意とした池泉回遊式庭園は、後の庭園文化に大きな影響を与え、現代に受け継がれる日本庭園の規範にもなっています。今回は自然の中に洗練された禅の世界を表現した、夢窓疎石の名庭をまとめてご紹介していきます。

【1】天龍寺

 

天龍寺の庭園①

 

天龍寺の庭園②

 

古くからの景勝地である京都・嵐山。渡月橋のすぐ近くに位置する天龍寺は、後醍醐天皇を供養するために足利尊氏が建立した寺院です。こちらの境内にある「曹源池庭園」は、王朝文化と禅の精神が見事に融合し、夢窓疎石の作品の中でも代表的な庭園と言われています。

 

庭の中心にある池「曹源池」は、禅の思想からその名が付けられたとされ、岩や石組の荒々しさ、州浜の曲線が織りなす雅が表現されています。その曹源池の奥には、激流を登り切った鯉が龍と化す様子を表現した「龍門瀑」と、日本最古の石橋と伝えられる橋石組があります。また、庭園の背後にそびえる嵐山・亀山も庭の一部に見えるように設計されており(借景)、春は桜、秋は紅葉と季節によって異なる世界観が楽しめるのも魅力となっています。

 

住所:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町36
アクセス:嵐電「嵐山駅」から徒歩約5分

 

【2】西芳寺

 

Walkway in the Saihoji Moss Temple (西芳寺)
Walkway in the Saihoji Moss Temple (西芳寺) / ericts8

 

西芳寺 苔寺 Saihoji
西芳寺 苔寺 Saihoji / tetsukun0105

 

通称「苔寺」という名前で親しまれる京都の西芳寺は、その名の通り、真っ青な苔のじゅうたんに覆われた庭園を持つ寺院です。池の周りを回遊して楽しむ「池泉回遊式庭園」と、水を用いずに山水を表した「枯山水庭園」の2つから成っており、夢窓疎石が得意とした作庭スタイルを一度に楽しむ事ができる庭園でもあります。

 

苔庭となっているのは「黄金池」を中心とした池泉庭園の方で、池に浮かぶ3つの島や、島に架けられた橋が木立の中で光り輝き、幻想的な空間を作り出しています。特に秋は紅葉の赤色、黄色と苔の緑色のコントラストが一際美しい景観となります。ちなみにこの苔は江戸時代末期になって配されたもので、夢窓疎石が作庭した際には存在しなかったという説もあります。尚、観覧には事前予約が必要なのでご注意ください。

 

住所:京都府京都市西京区松尾神ケ谷町56
アクセス:JR「京都駅」から「苔寺 鈴虫寺」行バスに乗車、終点のバス停から徒歩約3分

 

【3】等持院

 

等持院の庭園①

 

等持院の庭園②

 

足利尊氏が創建し、尊氏の墓所としても知られる京都の等持院。この等持院の庭園も、夢窓疎石の作庭と伝えられています。庭園は方丈を挟んで東西2つに分かれています。特に西の庭が有名で、芙蓉の花をかたどった「芙容池」を中心として、茶室「清漣亭」をはじめ、3つの建物に囲まれた池泉回遊式庭園になっています。こちらは庭園のほか、霊光殿に安置されている歴代の足利将軍の木像も見所となっています。

 

住所:京都府京都市北区等持院北町63
アクセス:嵐電北野線「等持院駅」から北へ徒歩約7分

 

【4】瑞泉寺

 

瑞泉寺の境内

 

瑞泉寺の庭園

 

鎌倉幕府の重臣であった二階堂貞藤(道蘊)が建立したと言われる瑞泉寺には、鎌倉に今も現存する、夢窓疎石作の書院庭園があります。岩盤を彫刻的に掘った洞窟「天女洞」や、飛び出した岩の周りを池に見立てるなど、鎌倉特有の地形、地質を存分に生かした庭園となっています。

 

また、背後の天台山、錦屏山が借景および垣根の役割を果たし、わずかに開けた西側からは富士山が望められるように設計されています。この庭園は鎌倉幕府の衰退とともに長らく埋もれていましたが、昭和45年に発掘・復元され、創建当時の美しい姿を現在に伝えています。

 

住所:神奈川県鎌倉市二階堂710
アクセス:JR「鎌倉駅」から大塔宮行バスに乗車、終点大塔宮から徒歩約15分

 

【5】恵林寺

 

恵林寺の境内①

 

恵林寺の境内②

 

山梨県甲州市にある恵林寺は、1330年に甲斐国の二階堂貞藤に招かれ、夢窓疎石が開山したという寺院です。夢窓疎石が作庭も担当したとされ、池を中心として四季折々の自然が楽しめる池泉回遊式庭園は、国の名勝にも指定されています。

 

また、武田信玄の墓所としても有名であり、武田信玄の坐像「武田不動尊」や「風林火山」が記された屏風など、信玄ゆかりの品々も大きな見所となっている寺院です。

 

住所:山梨県甲州市塩山小屋敷2280
アクセス:JR「塩山駅」南口から西沢渓谷行バスに乗車、恵林寺前バス停にて下車

 

【6】永保寺

 

虎渓山 永保寺
虎渓山 永保寺 / kazuyama050

 

Autumn leaves at Eiho Temple in Gifu Japan. 虎渓山永保寺の紅葉
Autumn leaves at Eiho Temple in Gifu Japan. 虎渓山永保寺の紅葉 / T.Kiya

 

「美濃七福神」として名高い岐阜県多治見市の永保寺。その庭園も夢窓疎石の代表作の1つです。虎渓山の山並み、岩石や水の流れなど、周囲に広がる壮大な自然を巧みに取り入れて作庭されています。

 

庭園の池「臥龍池」には、現代では珍しい屋根のある橋「無際橋」が掛けられており、バックの自然とともに水面に映る姿は、何とも言えない風情を醸し出しています。国の名勝となっているこの庭園の他に、国の指定文化財となっている観音堂や開山堂など、永保寺には歴史的価値の高い文化財が数多く所蔵されています。

 

住所:岐阜県多治見市虎渓山町1丁目40
アクセス:JR「多治見駅」から東鉄バスに乗車、虎渓山口バス停下車、徒歩約5分

 

ふじわら りえ

子育て主婦兼ライター。思わず誰かに話したくなる、そんな歴史旅の記事をお届けできるようにしたいと思っています。

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