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古代ロマンを満喫!世紀の大発見があった埼玉古墳群、その謎と解かれた真実を巡る歴史旅

記事公開日:2015/09/25

埼玉県北部の行田市は忍城の城下町として発展した街。その歴史はさらに深く、古墳時代には既に一大勢力の活動拠点でした。ここ埼玉古墳群には9基の大型古墳が密集し、それらがほぼ完全な姿で残っているのが大きな魅力であり特徴です。今回は古代ロマン満載の埼玉古墳群を歩く歴史旅をご紹介していきます。

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日本史の謎を解き明かした大発見「国宝・金錯銘鉄剣」

 

埼玉古墳群の名を日本中に知らしめたのは、何といっても、稲荷山古墳から出土した「金錯銘鉄剣」(国宝)の存在が挙げられます。この金錯銘鉄剣がいかに大発見であったかの根拠については、そこに刻まれている黄金の文字にあります。鉄剣に文字を刻む例は他にもありますが、金錯銘鉄剣の場合は115文字という膨大な量であり、他の追随を許していません。

 

また、そこにはいわゆる形容的な記述はなく、淡々と時代の事実関係を記録した姿を残していて、当時の大和朝廷が関東まで勢力範囲を拡げていた事実が確認できるものなのです。「自分は天皇の親衛隊長として、ここを治めた」という趣旨の記述と共に、暦年までもが特定できる文字も含まれていることから、古代日本における歴史の謎を解き明かす、100年に一度の大発見と今でも言われています。

 

さきたま史跡の博物館

 

さきたま史跡の博物館

 

埼玉古墳群を管理する埼玉県立さきたま史跡の博物館では、金錯銘鉄剣をはじめ、同時に出土した勾玉や鏡など、副葬品など国宝一式を常時展示しています。

 

通常、国宝に指定された史料は一定の季節、期間を定めて限定公開されますが、さきたま史跡の博物館の最たる特徴は、これら国宝を基本的には通年で展示していて、いつでも実物を鑑賞できる点にあります。これは鉄剣が劣化したり、ダメージを受けることを避けるために、特殊な技術を施したケースに収納したからこそ出来ることです。埼玉古墳群を散策した後には、ぜひ立ち寄りたいスポットだと思います。

 

丸墓山古墳の謎と特異性

 

丸墓山古墳

 

埼玉古墳群を形成する9基の大型古墳のうちの1つに、日本最大の円墳「丸墓山古墳」があります。映画化された和田竜さんの作品「のぼうの城」では、忍城を水攻めにしようとした石田三成が、その本陣を置いた場所としても有名です。

 

実はこの丸墓山にはちょっとしたミステリーが存在します。他の8基の古墳がすべて前方後円墳であるのに、丸墓山古墳だけが円墳なのです。その理由については学者達の間でも、いまだ定説となる決定打がないそうですが、一説を取り上げてみますと、「西側から古墳群を見渡す際に、稲荷山古墳が見えないように隠すという意図があったのではないか?」という学説もあるそうです。

 

また、丸墓山古墳には古墳としては珍しく階段が設けられており、一般の方々でも自由に頂上まで登ることができます。かつての石田三成になった気分で、古墳群の全景を眺めてみるのも一興かと思います。

 

古墳内部に入れる展示室がある!

 

将軍山古墳

 

一般的には古墳の内部に入れる!なんてあり得ないことかと思いますが、埼玉古墳群にある将軍山古墳では、本物の古墳の内部へと入ることができます。そもそも、天災によって崩れかけた将軍山古墳を修復するにあたり、その一部を展示室としたもので、当時の埋葬の様子などが再現されている姿を間近で見ることが出来ます。

 

武蔵国最大の前方後円墳 二子山古墳

 

二子山古墳

 

稲荷山古墳の南側、埼玉古墳群のちょうど中央にあたる位置に「二子山古墳」はあります。その壮大な規模は武蔵国最大の前方後円墳とされ、堂々たる姿を横たえています。ここはいまだ、発掘調査が行われたことはなく、詳細は不明ですが、埼玉古墳群の中央に位置することから、「もし掘ったら、すごい発見があるのでは!?」という声もあがっています。

 

散歩にサイクリングに快適な街づくり

 

さきたま古墳公園案内図

 

さきたま古墳群に足を踏み入れると、古代の風と光を浴びているような感覚を抱きます。首都圏から十分に日帰りできるエリアに、こんなスポットがあるのは素敵なことだと思います。地元の行田市では「埼玉古墳群を世界遺産に!」という声が年々高まりつつあり、公園の駐車場も綺麗に整備され、古墳群周辺にも、遊歩道やサイクリング道路が整備されています。四季折々の花を愛でながら、気軽に足を運べる古代の郷と言ってもいいでしょう。

 

好奇心を刺激する未知なる世界・謎

 

埼玉県名発祥の碑

 

現在の埼玉県の県名発祥の地である「さきたま」は、国宝・金錯銘鉄剣が、古代の謎を証言してみせてくれました。しかしまだまだ謎は多いです。いわゆる未知の領域が数多く残っているのです。例えばこれは一部の学者の間でしか知られていないことですが、金錯銘鉄剣をはじめとした素晴らしい国宝一式が出土したのは、稲荷山古墳の中心部ではなく、片隅にはずれた部分からでした。

 

では「もし稲荷山古墳の中央部を掘ったらどうなる!?」という期待が、密かに語られています。果たして、その日はやって来るのでしょうか?それとも歴史の秘部として永遠に残り続けるのでしょうか?こういったことを考えながら、時には非日常的な風景の中にワープしてみるのも、実に楽しい歴史旅になるのではないかと思います。

 

アクセス方法

JR北鴻巣駅からさきたま緑道で徒歩約1時間
JR行田駅から市内循環バスに乗り「埼玉古墳公園前」下車:徒歩2分
秩父鉄道行田市駅から市内循環バスに乗り「埼玉古墳公園前」下車:徒歩2分

 

車利用の場合
東北道、羽生インターチェンジから約30分
関越道、東松山インターチェンジから約40分
駐車場あり:無料



plastict依田 透

歴史スポットや人物史等について、歴史ファンの皆様と共に楽しく接していければと思っています。

 

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