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ペリーの黒船来航の地は今?浦賀・久里浜、上陸の地を巡る歴史旅

記事公開日:2015/07/27

江戸時代末期の1853年7月、アメリカのペリー提督率いる東インド艦隊の4隻が、東京湾の入り口にあたる浦賀水道に現れます。いわゆる「黒船の来航」であり、その後の開国、明治維新に至る歴史の大きな転換点になった出来事とされています。その当時は吉田松陰や佐久間象山をはじめとした知識人、その他多数の武士、庶民が見物に訪れたという浦賀周辺、今はどのようになっているのでしょうか?今回は日本とアメリカが初めて接点を持った、ペリー来航の地の今を取り上げてみたいと思います。

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上記の絵は神奈川県横須賀市久里浜にある、「ペリー公園」内にあったもの。ペリーと言えば浦賀というイメージですが、浦賀水道に現れたペリーが最初に上陸をしたのは、久里浜という場所でした。ちなみにこの浦賀水道周辺というのは、東京湾の入り口である三浦半島と房総半島の間に位置し、江戸時代の頃から江戸の街を守る海防の要になっていたそうです。

 

当時、アメリカの黒船が突然浦賀に現れたという風に学校で習い、記憶している方も多いと思いますが、実際には前年の段階で、長崎のオランダ商館長を通じて幕府に来航を予告していたという話もあるようです。いずれにしても浦賀にはこれ以前から奉行所が置かれ、異国船などの監視を行なっていたようなので、当時から浦賀周辺が重要な場所であった事は伺えます。

 

今の久里浜の砂浜

 

こちらは今の久里浜の砂浜。「ペリー公園」という公園の真向かいに広がっている海の様子です。歴史で聞く当時の喧騒とは全く異なる、穏やかな風景が広がっていました。海水浴やバーベキューを楽しむ家族連れの姿の右前方には、「横須賀火力発電所」が見えます。また、左前方の奥には国産初の洋式軍艦の建造が行われたという「浦賀ドック」の跡地もあります。

 

この砂浜から少し南へ進むと、三浦半島の久里浜と房総半島の金谷を結ぶ、「東京湾フェリー」に乗ることもできます。久里浜から約40分の所要時間で房総半島へと渡れてしまうとのことなので、その近さを実感する事ができる場所です。

ペリー公園近くの住宅街の様子

 

ペリーの来航、上陸を記念した「ペリー公園」のすぐ近くに広がっている住宅街の様子。静かな港町の住宅街の一角には、懐かしい昭和の時代を感じさせる居酒屋の看板がありました。時間がゆっくりと流れている、小さな港町の様子です。

 

懐かしい街の食堂のある風景

 

最近の一般的な街にはオシャレなカフェ、レストランチェーンなどの光景が多く広がっていますが、ここにはまだこういった懐かしい食堂の風景が残っていました。海辺の街ならではの海鮮をはじめとした定食の数々。今のような時代だからこそ、安くて美味しい街の食堂の味が貴重であり、大切にも思えます。

 

釣りのメッカでもある浦賀・久里浜エリア

 

さらに近くには釣具店の看板も。「つり道楽のためのお店」という文字がなんだかいい感じです。久里浜からは釣り船も多く出ているようで、季節ごとに真鯛やアジ、タチウオ、イナダなどの魚も釣れるようです。きっと黒船が浦賀沖に来航した当時も、釣り糸を垂らしながら様子を眺めていた人がいたのでしょう。

 

ペリー公園の中にあるイカリ

 

こちらが「ペリー公園」の中の様子。まるで当時の黒船を思わせるような、大きくて白いイカリが置かれていました。この公園内には所々にベンチが置かれてあり、今は地元の方々、観光客の方々の憩いの場ともなっているようです。

 

黒船来航時の雰囲気を伝える狂歌

 

公園内には黒船来航時の雰囲気を今に伝える有名な狂歌があります。「太平の眠りを覚ます蒸気船、たった四杯で夜も眠れず」。四杯とはペリーが率いた4隻の軍艦に掛け合わせているそうで、4隻の軍艦に慌てる江戸幕府の様子をからかった歌だと言われています。

 

ペリー公園の真ん中にそびえる大きな石碑

 

ペリー公園の真ん中にそびえる大きな石碑。ペリー提督率いるアメリカの黒船が初めて上陸した事を記念して建てられたもの。初上陸から約50年が経過した1901年に、この地に建てられたそうです。ちなみに碑文は初代総理大臣となった、伊藤博文の筆によるものとのこと。

 

ペリー公園の真ん中にそびえる石碑の裏側

 

石碑の裏には英語で書かれた文字も。この上陸記念の石碑は日本の有志の人々だけでなく、アメリカの有志の人々からの募金も募って建てられたものだそうです。

 

石碑の下にある英語のモニュメント

 

同じく石碑の下にも英語のモニュメントが。今は静かな港町となっているこの地に、確かに黒船来航の足跡が残されていました。

 

ペリー公園内にあるペリー記念館

 

公園内には「ペリー記念館」という建物もあります。訪れた日は既に閉館の時間でしたが、記念館では黒船来航当時の歴史的資料、絵巻物や瓦版などが展示され、黒船に驚く当時の人々の様子が伝えられているそうです。

 

ペリー記念館入り口のペリー提督像

 

ペリー記念館の入り口には海の方向を眺めるペリー提督の像が。当時初めて日本を訪れたペリーは、どんな風に日本の人々を見つめたのでしょうか。少なくとも日本の歴史の教科書に載り、こんなに有名になるとは本人も思っていなかったかもしれませんね。

 

ペリー記念館にある戸田伊豆守像

 

こちらは当時の浦賀奉行であり、ペリーとの交渉役を担ったという戸田伊豆守の像。江戸幕府という組織機構の中で働く奉行としては、自分の任期中に異国船が来て色々と要求するから、正直困ったなぁ・・・というのが本音なのかもしれません(苦笑)。

 

ペリー公園近くで聞こえた祭りのお囃子

 

ペリー公園を訪れた日、近くでこんな風に祭りのお囃子の音が聞こえてきました。この地には「開国橋」など、黒船の来航を忍ばせる地名も残されていますが、今も古き良き地域の伝統文化を伝える祭りが行われていました。

 

黒船来航当時の様子を伝える絵

 

最後に改めて黒船来航、ペリー上陸の地に残る絵を。静かな漁村にこれだけの人々が集い、和と洋が入り交じっている当時の光景。当時の事の大きさと、溢れる緊張感が伝わってきます。歴史の転換点となった港町では、今も静かにその足跡を後世に伝えてくれていました。

plastictレキタビ編集部

歴史スポット巡りや観光、老舗の歴史飯を味わう旅って案外楽しい!と言って頂けるような情報を発信したいと思います。

 

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